2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K14110
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
但木 大介 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (30794226)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フレキシブルデバイス / 有機トランジスタ / 圧力センサ / 圧電性高分子 / ポリフッ化ビニリデン / 溶液プロセス / 分極処理 / 表面修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、圧電性高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いたフレキシブル圧力センサと有機電界効果トランジスタ(OFET)とが一体となった、全く新しい圧力センシングデバイスの開発を行うものである。2018年度は、当該デバイスの開発に先立ち、デバイスにおける圧力検知を担うPVDF圧力センサの開発に注力した。PVDF圧力センサから出力を十分に得るためには、PVDF膜に対する分極処理(ポーリング)が必要であるが、高電界印加や高温加熱による煩雑な工程を経るのが一般的である。我々は、本研究を進める中で、下地電極表面に化学修飾を施すことによって直上のPVDF膜の分極を制御できる全く新しいポーリング法を見出し、センサの出力特性を向上させることに成功した。また、圧力印加システムの開発・導入により、検出感度(出力電圧/印加圧力)の定量化にも成功し、同感度の顕著な上昇を明らかにした。これらの成果は、いずれも本研究で開発を目指す当該デバイスへ適用することが可能と見込まれる。このため、2019年度では、2018年度に見出された新規ポーリング法を用いてOFET一体型圧力センシングデバイスを作製し、圧力印加による出力応答の取得を試みるとともに、得られた特性の評価を行う。また、同デバイスを人体の手首や腕に貼り付けることにより脈動の検出が可能かについても検証を行う。最後に、ウェアラブル圧力センサ実用化のために重要となる要素技術や解決すべき課題について総括し、当該センサにおける今後の開発指針を策定する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度では、本研究で開発を目指すOFET一体型圧力センシングデバイスの作製について、概ね計画通りに進めることができ、最終工程まで完了した。しかしその後、圧力センサ部のPVDF層とOFET部の有機半導体層とを隔てる役割を担う絶縁層が十分に成膜できていないことが判明した。絶縁層の厚さが不足しているために、ここを介した電流のリークが生じており、結果として、圧力印加による出力応答特性の評価までには現状至っていない。一方で、圧力検知部となるPVDF圧力センサ自体の開発については、新規分極処理(ポーリング)法を見出したことにより、センサ特性の向上に成功している。そのため、上記課題が解決されれば、OFET一体型圧力センシングデバイスの特性評価が可能になるだけでなく、新規ポーリング法の適用により同デバイス特性が大きく向上することも期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度では、まず、現在生じている技術的課題の解決に取り組む。我々は、絶縁層の成膜を十分に行える能力を有した装置を現在立ち上げているところであり、まもなく稼動できる見通しである。稼動ができ次第、これを当該デバイスの作製工程に導入した上で、完成したサンプルにおける圧力応答特性の取得を試みる。得られた特性の評価については、特に、PVDF膜に対する分極処理の有無による違いに注目しながら行う予定である。また、同デバイスを人体の手首や腕に貼り付けた状態で脈動の検出を試みることにより、生体センサへの応用の可能性について検証する計画である。
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Research Products
(7 results)