2018 Fiscal Year Research-status Report
ペロブスカイト多結晶薄膜特性の結晶方位依存性に関する基礎的研究
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18K14120
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
馬 騰 東北大学, 材料科学高等研究所, 助教 (10734543)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光電変換デバイス / ペロブスカイト / 結晶方位 / フォトルミネッセンス / 表面電位 / 表面修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機金属ハライドペロブスカイト材料はその優れた光学的、電気的性質はさることながら、溶液プロセスによる簡便な成膜が可能なため、次世代光電デバイスへの応用が期待されている。本研究では、申請者が独自に開発した成膜法を活用し、均一性が高い、大粒径結晶粒を有するペロブスカイト多結晶膜を形成し、膜中の結晶粒ごとに結晶方位と光学的・電気的性質の相関を明らかにした上で、ペロブスカイト薄膜を用いた太陽電池やフォトディテクターなどの光電デバイスの性能向上を目指す。 平成30年度においては、(1)大結晶ペロブスカイト薄膜の成膜条件の最適化、および(2)高い空間分解能を持つ顕微フォトルミネッセンス測定・解析環境の構築を実施した。まず(1)について、従来の成膜法では、高温アニール処理を大気中で行っていたため、湿度変化の影響により膜の形状が顕著に変わっていた。今回、アニール処理を窒素雰囲気下で行うとともに、結晶成長における重要なパラメータとなるアニール温度と有機成分の割合に着眼した。この割合を詳細に制御することによって、大結晶を有するペロブスカイト薄膜を、より低い温度で安定的に成膜させることに成功した。次に(2)について、ミクロンサイズのペロブスカイト結晶の結晶ごとに光学的な評価を行うためには、高空間分解能を有する顕微観察装置の構築が必要となる。平成30年度では、現有する蛍光顕微鏡に高分解能対物レンズ、高感度スペクトルメーター、低開口数光ファイバー、高精度自動ステージをそれぞれ追加し、ペロブスカイト薄膜の結晶ごとに、フォトルミネッセンススペクトルを測定した上で、結晶の蛍光強度及びピーク位置についての定量評価に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度では、有機金属ハライドペロブスカイト薄膜の結晶成長手法の最適化を行った後、大結晶粒の光学的評価に必要な測定システムを構築できた。当初の研究計画における目的を達成できたため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度では、アニール処理の温度と雰囲気の最適化によって、大結晶ペロブスカイト薄膜を再現よく得ることができるようになり、また、高空間分解能を有する顕微フォトルミネッセンス測定・解析システムの構築にも成功した。今後の展開としては、確立した新規成膜法によって得た大結晶ペロブスカイト薄膜に対し、構築したシステムを用いて測定することにより、膜中における結晶粒ごとの光学的・電気的特性について評価する予定である。また、結晶方位の情報と合わせて解析することにより、デバイスの性能向上に最適な結晶方位を見出す方針である。さらに、多結晶膜中結晶粒の結晶方位を揃えるための結晶成長プロセス制御法を確立し、ペロブスカイト薄膜を用いた光電デバイスのさらなる性能向上を目指す。
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Causes of Carryover |
スパッタターゲットと基板の納品は平成30年度に間に合わなかったため、次年度支払予定である。また、国際会議の旅費が予定より少なく済んだため、その差額は次年度の国際会議に使用する予定である。
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Research Products
(8 results)