2019 Fiscal Year Annual Research Report
Clarifying physical mechanism of a very fast current-induced domain wall motion at low current density in RE-TM nanowire attributed to spin orbital torque.
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18K14128
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
Pham VanThach 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), ポストドクトラル研究員 (70807809)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スピン軌道トルク / 電流磁壁駆動 / 希土類/遷移金属合金・多層膜 / 磁壁駆動速度 / ヘテロ界面 / 臨界電流密度 / Tb/Co / GdFeCo |
Outline of Annual Research Achievements |
スピンエレクトロニクスにおいて、デバイスの駆動原理はスピントルクトランスファートルク(STT)である。これは電流の伝導電子の移動方向に磁性体の磁壁を駆動する力となる。しかし、最近新しい駆動原理が登場した。それがスピン軌道トルク(SOT)である。これは磁性体に重金属層を設け、このヘテロ界面に電子が流れると膜面垂直方向にスピン流が流れ、そのスピン流に直交して磁壁を駆動する力となる。この2つの駆動原理を応用してレーストラックメモリの研究が盛んに行われている。この実現に向けて磁壁駆動の臨界電流密度(Jc)の低減と高速データレートを確保するための磁壁移動速度(v)の高速化が必要となる。この比率をv/Icとした場合、vを速めるアプローチかIcを低減するアプローチが必要である。IBMは2種類のフェロ磁性層を反強磁性結合させる複雑な構造にすることで、vを750m/secに改善した。しかし、これは複雑であり実用的では無い。そこで、希土類と遷移金属がフェリ結合する性質に注目した。これであれば、1層で高速化できる。そこで、TbCo/Pt磁性細線を作り、磁壁の電流駆動実験を行ったが、速度は数100m/secが限界であった。この場合、角運動量補償組成と磁化補償組成に大きなズレがあり、それが速度限界の原因であると考えた。そこで、角運動量補償組成と磁化補償組成のズレの少ないGdFeCo/Pt磁性細線を作成した。すると、磁壁移動速度は700m/secまで増大した。更なる改善方法として、駆動力である電流値を高める方法がある。そこで、これまで100nsecに固定していた電流パルス幅を短くすることを試してみた。パルス幅を短くして電流値を高めるとvは更に高速になった。パルス幅を3nsecにするとvは2600m/secにまで改善した。この投入エネルギーは当初の半分以下であり、当初目標のv/Ic大幅改善に成功した。
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