2020 Fiscal Year Annual Research Report
Observation of element-selective band structures at the charge-transfer interfaces of oxides
Project/Area Number |
18K14130
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
北村 未歩 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (00783581)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 酸化物界面 / 光電子分光 / 角度分解光電子分光 / 放射光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、遷移金属酸化物ヘテロ界面で発現する特異電気・磁気特性の起源に対する知見を得ることを目的として研究を行った。この目的を達成するために、レーザー分子線エピタキシー法を用いて、酸化物単結晶基板上に膜厚を分子層レベルで制御しながら各層の膜厚が異なる複数のペロブスカイト型遷移金属酸化物積層構造を作製した。作製したヘテロ構造に対して、元素の吸収端のエネルギーの放射光を励起光とした共鳴角度分解光電子分光により、構成元素毎の界面バンド構造を評価した。 第一段階のターゲットとして、これまでの研究から界面で遷移金属イオン間の電荷移動による価数変化が起こると分かっている、LaNiO3とLaMnO3のヘテロ界面をターゲットとして研究を行った。しかしながら、LaMnO3が半導体であるために、LaMnO3元々のバンド構造が明瞭に観測することが困難であり、LaNiO3/LaMnO3ヘテロ界面では、元素選択的なバンド構造を捉えることができなかった。 そこで、LaMnO3にホールをドープすることで伝導性をあげたLa1-xSrxMnO3にターゲットを変更し実験を行った。半導体であるLaMnO3とは異なり、金属であるLa1-xSrxMnO3では変調前の電子バンドを明瞭に観測でき、また、LaNiO3に関しても明瞭なバンド構造を観察することに成功した。さらにX線吸収分光測定から、LaNiO3とLaMnO3と同様に界面のMnイオンとNiイオン間で電荷移動が起こっていることが明らかとなった。この高品質なLa1-xSrxMnO3とLaNiO3を用いてヘテロ構造を作製し、MnとNiそれぞれの吸収端で共鳴角度分解光電子分光を測定することにより、ヘテロ構造におけるNiバンドとMnバンドを分離して観測することに成功した。
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Research Products
(11 results)