2020 Fiscal Year Annual Research Report
Single shot time resolved spectroscopy oriented to standard quantum limit
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18K14144
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平 敬 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (60802163)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 時間分解分光 / シングルショット / 量子計測 / 量子コンピューター / アニーリング / デコヒーレンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、フェムト秒領域の時間分解能で従来法には無かった高精度の微弱光信号測定を行えるようなシステムの構築である。従来法では非線形光学を必要とし、微弱信号に対しては感度が不足する。そこで十分に強い参照信号パルスの波形を非線形光学を用いて求めておいて、線形光学のみで微弱な未知信号パルスとの干渉波形をイメージセンサ上に展開する。また、イメージセンサのダイナミックレンジを最大限に生かすために空間光変調素子を用いてセンサ上で飽和しないようにしたうえで、変調素子の状態も含めたモデル方程式に対して最適化計算を実施することで未知信号パルスの波形を復元する。 研究期間全体ではこの目的のためにフェムト秒レーザー光源・イメージセンサ・干渉計・デジタルミラーデバイスなどの調達を行い、システムの構築を試みた。レーザー光源の構築など完成している部分もあるが、時間的な都合で未完成の部分がある。 最終年度では更に波形復元のためのソフトウェアを構築するための計算機実験を行い、GPUを用いて一定程度の最適化を行うことができた。しかしシミュレーション波形を復元する実験では不完全な点があり、改良の余地があることが分かった。 ハードウェアからソフトウェアまで新規の要素が非常に多かったため未完の部分はあるが、従来法を超えるうえで必要な技術的課題が判明し、未踏の課題を達成するうえで必要なノウハウが得られた。これらの技術的課題を解決すれば本研究の目標を達成できるだけでなく、従来にはなかったような様々な測定手法の新規開発につなげることができると予想される。残された課題の解決によって、解析的には扱いづらいような実験系に対しても最適化計算の力を用いて新たな価値を与えるというパラダイムの発展につながることが期待される。
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