2019 Fiscal Year Research-status Report
高強度光電場に駆動される電子・正孔ダイナミクスの理論研究
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18K14145
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
篠原 康 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (90775024)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高次高調波発生 / 密度汎関数理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
与えられた準粒子エネルギー分散に、電子・正孔対相互作用を取り込む理論的枠組みの開発を行い、そのシミュレーションを行った。この模型では模型ハミルトニアンはエネルギーギャップと運動量を記述する項が明瞭に分かれており、加えた電子・正孔対相互作用が電場導入下でどちらを変調しているのかを評価することが明確に評価できる。現象の理解の手始めに、初期時刻ではゼロで、有限時間後に定常電場をかけるシミュレーションを行い、Zenerトンネリングに対応するシミュレーションを行った。交換項由来のgap renormalizationは、電場が時間変化しているときにのみ現れ、ギャップを小さくする役目を演じた。直接項由来のgap renormalizationは、電場が定常的にかかっている際に顕著で、ギャップを大きくする役目を演じていることを明らかにした。 また、平成30年度に開発と計算の遂行を行った、密度汎関数理論で評価した電子状態での時間発展に、緩和項を取り込んだ高次高調発生シミュレーションの解析を進め、各次数の時間構造に特徴的な位相の変化があることを示した。 電子・正孔対相互作用が電子基底状態の性質を決める励起子絶縁体の候補物質であるTa2NiSe5における電子・格子相互作用を評価するため、密度汎関数理論、および密度汎関数摂動計算を用いて、光学的に励起されるコヒーレントフォノンの評価と、その格子振動により変調される電子状態の変化を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電子・正孔対相互作用を取り込んだ理論開発を計画通り達成した。 提案した理論的枠組み、そのアセスメントとして、実験による検証が必要である。前年度に開発した理論的枠組みを使って、実験グループとの共同研究を進展させた。
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Strategy for Future Research Activity |
必要な理論的枠組みはおおむね開発を終えた。 当初計画していたSi, GaAs, GaSe, SiO2等の固体の高強度場現象で典型的な物質に対して、網羅的に適用し、電子・正孔対相互作用の固体における高強度場現象への影響の定量的な評価と、物理描像の構築に取り組む。 関連した実験家との共同研究を推進する。
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Causes of Carryover |
当初想定していた旅費が、他の助成により支出され、海外旅費が計画よりも抑えられたため。 次年度使用額は、旅費、物品費に充てる。
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Research Products
(6 results)