2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K14161
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
萩原 大樹 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉環境国際共同研究センター, 研究副主幹 (20773914)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ガラス質粒子 / Type-A / ストロンチウム |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、堆積物中に含まれるガラス質粒子の形成過程を検討するため、特に放射性セシウムを含むガラス質粒子の特性を把握した。福島第一原子力発電所から500m-9kmの方向の異なる複数地点で採取したで堆積物から、放射性セシウム粒子をオートラジオグラフィおよび電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を組み合わせて特定し、炭素を含まない試料台に単離した。単離した粒子は、Ge半導体検出器で放射能測定、EPMAを用いて元素分析を行った。 放射性セシウムを含む粒子の粒径頻度は、おもに2.0-2.5μmが多く、粒子の形態から4種類に分類できることが新たに分かった。また、放射性セシウム濃度は0.2-8.9Bqで分布し、放射性セシウム濃度と体積の関係式から、球形粒子と非球形粒子の放射性セシウム濃度を比較すると、非球形粒子の放射性セシウム濃度が小さくなる傾向が明らかになった。さらに、構成元素は、シリコンからなるガラス質粒子で構成され、非球形の主要元素の存在比の幅が大きく、不均一に形成されたことが示唆された。構成元素の種類や、放射性セシウムの存在比(134Cs/137Cs)から、形態は異なるものの、同一のプロセスで粒子が形成された可能性が提案できる。 また、ストロンチウムを含む粒子については、透過型電子顕微鏡(TEM)でストロンチウムの存在割合が大きいとされた試料について、フェザー法を用いたβ線のエネルギー推定を行った。試料から放出されるβ線エネルギーは<1.0 MeVと推定され、Sr/Yの放出する2.28MeVとは一致しなかった。この結果から、TEMで確認されたストロンチウムに含まれる放射性ストロンチウムの割合は小さいと推定できる。 今後は、本研究過程で数多く同定できた放射性微粒子について、放射能や元素組成の情報からカテゴライズするとともに、その特徴から形成プロセスを考察する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ストロンチウムを含む粒子の大きさが数100nm程度と微小なため、単離作業が難航しており、当初の計画どおりに進捗していないと判断した。今後、様々な単離方法を試行し、分析に供する試料を作成し、遅れを挽回する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ストロンチウムを含む粒子を単離し、放射能測定や、質量分析装置に供するための試料作製に注力する。また、ガラス質粒子については、近年、提案された複数の起源物質と比較することで、生成過程を特定する。
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Causes of Carryover |
当初の計画において想定していた成果発表より実際の発表件数が少なくなったこと等により、次年度使用額が生じることとなった。次年度使用額は、令和3年度分の経費と合わせ、分析に係る物品購入費や成果発表に係る費用として使用する。
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