2018 Fiscal Year Research-status Report
デジタル岩石物理学によるフラクチャーを含む岩石のアップスケーリング
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18K14169
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池田 達紀 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 助教 (00736845)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | デジタル岩石物理 / フラクチャー / アップスケール / 異方性 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度はフラクチャーを含む不均質な岩石の弾性的特徴を反映できる手法を開発するため、デジタル岩石から3次元弾性体モデルを構築し、弾性波動シミュレーションを適用することで、その弾性波速度を推定した。 岩石サンプルとしては、フラクチャーを含む延岡衝上断層の路頭で取得されたサンプル(高さ38mm×直径38mmの円柱)を利用した。この岩石サンプルに対し、マイクロX線CTスキャナを適用することで、異なる解像度(12~41μm)の3次元デジタルモデルを作成した。岩石内の細かいフラクチャー情報を考慮しながら岩石全体の特徴を得るため、Tisato et al. (2016)によるsegmentation-lessデジタル岩石物理を適用した。具体的には、比較的低い41μmの解像度で取得したデジタルデータにおいて、各ピクセルのCT値から密度および空隙率を推定し、有効媒質理論を用いたアップスケーリングにより、各ピクセルの弾性定数を推定した。3次元弾性体モデルに対し、有限差分法による弾性波動シミュレーションを適用し得られたP波速度と実験値との比較から、有効媒質理論におけるcritical porosityを5%程度としたモデリングによって、実験値を再現できるシミュレーション結果が得られることがわかった。また、推定したP波速度には数10%程度の異方性が確認でき、岩石のフラクチャー分布に関連すると考えられる。 さらに表面粗さ計によりデジタル化したフラクチャーを含む岩石モデルに対し、弾性波動シミュレーションを適用することで、フラクチャー形状と弾性波速度の関連も調べる研究も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
岩石内のフラクチャー形状を把握するために、高い解像度でマイクロCTデータを取得し、画像解析を行ったが、岩石内のフラクチャーを正確に割り当てることは困難であった。また、解像度を高くすると岩石全体の特徴を捉えることが困難になるという問題があった。そこで逆に比較的低い解像度で画像データを取得し、各ピクセルに有効媒質理論を適用するsegmentation-less岩石物理を適用する方針に変更したため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在segmentation-less岩石物理における有効媒質理論としてModified Hashin-Shtrikman boundを利用しているが、Differential Effective Mediumを利用したモデリングを採用することで、三次元的な間隙形状を考慮しながら岩石内のクラックのアスペクト比を推定する手法の適用も試みる予定である。 また、各ピクセルのCT値を密度に変換する際、密度の実験値を用いた線形の関係を利用しているが、密度がわかっている物質をマイクロCTデータを取得する際に岩石に添付し計測することで、より精度の高い密度分布の推定方法を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
平成30年度はスーパーコンピュータを使用する予定であったが、所属する研究所内の計算資源に空きがあったため、そちらを利用し、スーパーコンピュータの使用量は計上しなかった。翌年度はより多くの計算資源が必要となるため、スーパーコンピュータの使用量を計上する。また、岩石サンプルのCTデータを取得するための旅費、学会発表のための旅費、シミュレーションデータ保存のためのハードディスク、および論文投稿のための英文校閲費等に計上する。
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Research Products
(2 results)