2019 Fiscal Year Research-status Report
微生物由来の水酸化鉄を用いた水環境からのレアアースの回収
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18K14172
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
菊池 早希子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), ポストドクトラル研究員 (50758852)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水酸化鉄 / REY / XAFS / zeta-potential |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、微生物由来の水酸化鉄(Biogenic iron oxyhydroxides: BIOS)へのレアアース(Rare earth elements and yttrium: REY)の濃集実態とその濃集メカニズムを理解することで、様々な水環境からREYを集めることが可能な安価かつ環境に優しい回収剤を提案することである。 昨年度までの我々の研究から、地下水口で採取した天然のBIOSはREYを高濃度に濃集していることが明らかになった。そこで本年度は、なぜBIOSにREYが濃集するのか、その要因を明らかにすることを目指し、(1)X線吸収微細構造法(XAFS法)を用いたREYの吸着構造を調べると共に、(2)ゼータ電位計を用いた様々なpHにおけるBIOSの表面電荷を調べた。特に分析(1)についてはREYのうちBIOSに最も濃集しているYを分析対象とした。 BIOSのY K-edgeX線吸収端構造(XANES)分析および広域X線吸収微細構造(EXAFS)分析の結果、YはBIOS中の鉄と内圏錯体を形成して吸着していることが分かった。この結果は非微生物由来の水酸化鉄へYが吸着した場合と同じである。一方で、BIOSの表面電荷はpHが8以下で正電荷を帯びている非微生物由来の水酸化鉄と異なり、幅広いpHで負電荷を帯びていることが分かった。これはBIOSに含まれる有機物やリンなどが水酸化鉄に吸着することで、水酸化鉄の表面電荷が負に変化したためと考えられる。以上の結果から、BIOSにREYが濃集する理由は、吸着力の強い内圏錯体を形成することに加え、負に帯電したBIOSが陽イオンであるREYを静電的に引きつけるためであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はREYの濃集に寄与する最も重要な因子を明らかにすること目標としていた。放射光のビームタイム等の関係で、昨年度採取した全てのBIOS試料(全10サンプル)を測定をすることはできなかったが、代表試料を選んで測定を試み、試料数は限られるものの良質なスペクトルを得ることができた。また、XAFS結果、ゼータ電位測定結果共にBIOSへのREYの濃集を原子レベルの反応に基づいて説明できるものであった。したがって、進歩状況は概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終目標はBIOSへのREYの濃集メカニズムの理解を通して、様々な環境からREYを回収できる吸着剤を提案することである。したがって、今後は得られた結果をもとに作成した模擬BIOSを様々な水環境に設置することで、実際に天然環境からREYを回収する現場吸着実験を行う。特に、今年度の研究からREYの濃集には吸着ホストとして働く水酸化鉄以外に、それらの電荷を負に変化させる有機物の存在が重要であることが分かった。そこで、有機物の含有量を変化させたいくつかの模擬BIOSを合成し、REYを回収する上で最適な有機物量を考慮する。また、現場吸着実験は海水と淡水で行い、異なるpH、溶存REY、イオン強度におけるREYの濃集率の違いについても議論したいと考えている。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Modern precipitation of hydrogenetic ferromanganese minerals during on-site 15-year exposure tests2020
Author(s)
Usui A., Hino H., Suzushima D., Tomioka N., Suzuki Y., Sunamura M., Kato S., Kashiwabara T., Kikuchi S., Uramoto G.-I., Suzuki K., Yamaoka K.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 10
Pages: 1-10
DOI
Peer Reviewed / Open Access