2018 Fiscal Year Research-status Report
イオン移動度質量分析法を用いた炭素ナノオニオンの探索
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18K14173
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中野 元善 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助教 (00748816)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | クラスター / フラーレン / イオン移動度分析法 / 質量分析法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画ではクラスターサイズ(構成原子数)が数千のサイズ領域において、イオン移動度質量分析法を用いて炭素ナノオニオンを含む炭素原子のみで構成される炭素クラスターイオンの構造異性体を探索することを目標としていた。炭素ナノオニオンと呼ばれる複数の層からなる多層フラーレンは、ナノ粒子の領域にて研究対象となっている炭素同素体の一種である。炭素ナノオニオンは主に透過型電子顕微鏡を用いて観測されてきたため、サイズの見積はあいまいな点があったが、本手法では質量分析法を用いてサイズを議論することができるという長所がある。このクラスターとナノ粒子の中間領域といえるサイズ領域にてどのようなサイズのフラーレンの組み合わせがあるのか。また、それはどのような成長過程を取っているのか。といった観点から研究を進めていた。 以前の研究にて、バックミニスターフラーレンC60より大きなサイズ100から800程度の領域まで観測に成功しており、このサイズ領域では単層フラーレンと二層フラーレンの1価イオン及び2価イオンが連続的来な分布として観測されていた。平成30年度は、観測可能なサイズ領域の上限を決めている要因を見定め、以前より大きいサイズ領域における観測を行うために、1)より大きいサイズのクラスターイオンを生成するためのクラスター生成部の改良と2)大きいサイズ領域におけるクラスターイオンの検出効率を向上させるためのクラスター観測部の改良の2点に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに、クラスター生成部及び観測部の改良を行ってきた。その結果、以前は最大でも800程度までが限界だった観測上限を1500程度まで増大させることができた。実験の第1段階は三層構造のフラーレンの観測であり、サイズ840付近を下限として現れ始めると予想している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に則り、イオン移動度質量分析法を用いて数千のサイズ領域において炭素クラスターイオンの構造異性体の探索を行う。 また、抜本的な理由により現在使用しいるクラスター生成法では、目的のクラスターイオンが生成しない可能性を視野に入れ、他の系の探索も行う。具体的には炭素と同様に中空のかご型構造を作ることが知られているホウ素クラスターイオンの構造異性体の探索についても行う予定である。
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Causes of Carryover |
現在進めている研究が評価され、申請時に参加を予定していなかった国際学会に招待講演の依頼を受けた。それに参加するための旅費を補うため、次年度使用額が発生した。
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