2019 Fiscal Year Research-status Report
ナノダイヤモンドの粒界を反応場に用いた二酸化炭素の電気化学還元
Project/Area Number |
18K14192
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
楢木野 宏 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (70781334)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ダイヤモンド電極 / リンドーピング / 粒界 / 二酸化炭素 / 電気化学還元 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度の研究では,マイクロ波プラズマ化学気相成長(CVD)法により作製したリンドープ多結晶ダイヤモンド電極を用いて水溶液中の溶存二酸化炭素を電気化学的還元することに注力した. 始めに,電気化学特性を従来のホウ素ドープダイヤモンド電極と比較した.水溶液中における酸素・水素発生電位を調査した結果,酸素発生電位はリンドープダイヤモンド電極では2.26 V (vs. Ag/AgCl),ホウ素ドープダイヤモンド電極では2.24 Vであった.一方で,水素発生電位は,それぞれ,-2.37 Vおよび-1.30 Vと大きく異なり,リンドープダイヤモンド電極が水素発生反応に対して非常に高い過電圧を有することが明らかになった.加えて,水素発生反応に対する交換電流密度もリンドープダイヤモンド電極の方が小さい値となった.これは,リンドープダイヤモンド電極がホウ素ドープダイヤモンド電極と比較して水素発生反応が生じにくいことを示す.これは,水素発生反応の触媒となるホウ素原子を含まないためであると推測される. リンドープダイヤモンド電極上での溶存二酸化炭素の還元反応の反応電子数を算出したところ,1電子または2電子反応であった.従って,還元反応による主生成物はギ酸や一酸化炭素である可能性が高い.溶存二酸化炭素を還元可能なリンドープダイヤモンド電極に対して混酸処理を行った結果,二酸化炭素の還元を示す電流値は大きく低下した.そのため,二酸化炭素の還元反応は主に粒界に存在する非ダイヤモンド相で生じていると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水素発生反応に対して高い過電圧を有するリンドープダイヤモンド電極の作製に成功した.また,ダイヤモンド電極の粒界が主な反応場であることを明らかにしたため.
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Strategy for Future Research Activity |
溶存二酸化炭素の還元生成物の同定・定量を行う予定である.また,ダイヤモンド粒径をさらに小さくすることで粒界の占める割合を増加させ,還元反応量の増加を図る.
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染拡大の影響により年度末に参加予定の学会が中止となり,旅費分の差が生じたため.次年度使用分は,Si基板や原料ガスなどの消耗品に充てる予定である.
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Research Products
(10 results)