2018 Fiscal Year Research-status Report
Functionalizations of Nitrogen-doped Polycyclic Aromatic Compounds
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18K14199
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 隆行 京都大学, 理学研究科, 助教 (20705446)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多環芳香族炭化水素 / サーキュレン / コラニュレン / 水溶性 / 蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
アザサーキュレンのヘテロ類縁体であるトリアザモノオキサ[8]サーキュレンの合成に成功した。これまで、ジアザジオキサ[8]サーキュレンとモノアザトリオキサ[8]サーキュレンの合成は報告されていたが、今回の分子は例がなく、また合成法も異なる。得られた構造は完全な平面で、発光量子収率も52%と高かった。また、ビス(2-ブロモフェニル)チオフェンと2,5-ビスピナコレートジボリルピロールのカップリング反応によりジチアジアザ[8]サーキュレンの合成もできており、構造バリエーションが大きく拡張している。ジチアジアザ[8]サーキュレンはDMSOのみに溶解する難溶性の化合物であるが、このような平面分子が極性溶媒に溶解すること自体が予想外の結果であった。 コラニュレンの外周部に五重にインドールが縮合したペンタインドロコラニュレンの合成に成功した。単離が困難であったが窒素上をメチル化することで精製に成功し、X線結晶構造解析にも成功している。最安定構造は、隣接するインドール環同士が(PPMPM)のパターンでねじれた非対称化合物だった。目的とするボウル型化合物の合成まであと1ステップであり、今後合成収率の改善と変換反応の検討を行う。 ヘテロサーキュレン類の置換基修飾による水溶化の検討も進んでいる。PEG鎖を導入することに成功し、PEG置換トリアザ擬[8]サーキュレンがTHF/H2O=1/99の比率にまで凝集することなく溶解し、発光のクエンチが起きないことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的とする分子の合成は完全には達成できていないものの、当初予想していなかった新規分子を合成することができた。ヘテロサーキュレンの化学は導入する元素の特性を利用した様々な展開が模索できるため、多様性を明らかにできたことは重要な成果である。周辺部修飾反応の開発は少しずつではあるが着実に進んでいる。 コラニュレンの周辺部修飾では大きな進展が見られ、ペンタインドロコラニュレンを合成することができた。この分子自体が多重ヘリセン構造を有しており興味深いが、今後はこの構造の詳細の検討に加え、さらなる縮合により巨大ボウル型化合物を合成することを試みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
ヘテロサーキュレンの合成法が少しずつ改良されており、目的とする分子の合成のための下地が整いつつある。高効率な合成のためのさらなる条件検討を続けたい。 コラニュレンの酸化反応によるボウル型分子合成は、現在のところうまく進行していないが、検討回数を増やして反応条件を精査するには限界がある。熱重量分析などを用いて、どういった生成物が得られているのかを詳細に追求していくことで効果的な反応条件の改善に努める。 水溶性パイ電子系の合成は可能だが、精製が思いの外困難であることがわかった。HPLCなどを用いた精製方法を検討したい。
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Causes of Carryover |
用いる予定だった試薬類が予定より安価に入手できたため、翌年度に使用することにした。翌年度も引き続き試薬購入と旅費、論文執筆経費などに使用する予定である。
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Research Products
(20 results)