2018 Fiscal Year Research-status Report
多置換複素環形成を目指した新規ヘテロクムレン類の開発
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18K14204
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
菅又 功 立教大学, 理学部, 助教 (80646886)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヘテロクムレン / カルコゲン / X線結晶構造解析 / 1,3-双極子反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
テルロフェンはチオフェン類よりも高い導電性や電子移動度を有することから、電子材料への応用が期待されている分子である。しかしながら、その合成法上の理由でβ位への置換基導入が困難である。そこでβ位に置換基を有するテルロフェンのモジュラー合成法の開発を本研究課題に設定した。高効率での複素環合成が可能な[3+2]環化付加反応に着目し、1,3-双極子剤の含テルルヘテロクムレン、ビス(メチレン)テラン, >C=Te=C<と、求双極子剤のアセチレン類, R-C≡C-R’を反応させることで、位置選択的に多様な置換基が導入可能と考えた。ビス(メチレン)テランの硫黄やセレン類縁体は合成・単離が可能であり、1,3-双極子剤として良好な反応性を示す。そこで、新規ヘテロクムレン類のビス(メチレン)テランをテルロフェン合成のビルディングブロックとして活用するために、合成・単離を行い、その構造や物性を調査する。その結果を鑑み、多置換テルロフェン合成へとつなげる。 2018年度は、ビス(メチレン)テランの合成検討を行うとともに、ビス(メチレン)スルファンおよびセランの反応性の調査を検討した。ビス(メチレン)スルファンではその安定性や置換基のかさ高さから前述したような1,3-双極子型の反応は進行しなかった。一方で、ビス(メチレン)セランの反応性を検討したところ、塩化水素やハロゲン化試剤との反応において1,3-付加した生成物が定量的に得られることがわかった。これらのことより、中心元素を高周期元素に置き換えることで反応性が向上することがわかり、目的のビス(メチレン)テランも容易に1,3-付加反応を起こすことが期待される結果となった。 ビス(メチレン)テランの発生検討では、硫黄、セレン類縁体と同様の手順で合成を検討したところ、目的とするビス(メチレン)テランと思われる濃青色の生成物を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ビス(メチレン)テランの安定性が予想以上に低く、紫外可視吸収スペクトルにより発生を確認することはできるものの、その単離には至っていない。しかしながら、短寿命ながら室温でも観測可能な化合物であることが確認できたため、その合成・単離に安定性の向上が必須であることが示唆させた。そこで、安定性の向上のために新規立体保護基の開発にも着手しており、今年度の研究の発展を期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
安定なビス(メチレン)テランの合成およびその性質解明を最重要課題として研究を行う。前述したとおり、短寿命ながら目的のビス(メチレン)テランの発生には成功しており、今後はその安定性の向上や精製法の開発を行う。安定性の向上には、現在使用しているかさ高いケイ素置換基であるMePh2Si基のMe基を2,2-ジメチルプロピル基、いわゆるネオペンチル(Np)基へと変更する。安定なビス(メチレン)テランを合成し、その構造や基本的性質を解明することで、続く[3+2]付加環化反応によるテルロフェン環形成反応への橋掛かりとする。安定なビス(メチレン)テランの合成により高効率な発生の最適条件を探すことで、かさの低い高反応性ビス(メチレン)テランを高い収率で発生させ、ワンポットでの[3+2]付加環化反応によるテルロフェン合成にも着手したいと考えている。
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Causes of Carryover |
購入を予定していたガラス器具の作成が遅れてしまい、本年度までに購入することができなかったため、次年度へと繰り越しを行った。また、19年度が本研究課題の最終年度であるため、国内外での研究発表のための費用として繰り越しを行った。参加予定の研究会は以下の通りである。 国際学会:International Conference of Hetero Atom Chemstry (ICHAC-2019), チェコ、プラハ 国内学会:1)第46回有機典型元素化学討論会、愛媛 2)日本化学会第100春季年会、千葉
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Research Products
(4 results)