2018 Fiscal Year Research-status Report
酸化的環化反応を基盤としたモノテルペンインドールアルカロイド類の網羅的全合成
Project/Area Number |
18K14210
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小田木 陽 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30772157)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脱芳香族的環化反応 / 分子内アザ―マイケル反応 / モノテルペンインドールアルカロイド / 超原子価ヨウ素試薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】モノテルペンインドールアルカロイド類は、抗ガン活性など有用な生理活性を有するアルカロイド群であり、創薬シード化合物として注目されている。従って、これら化合物群を網羅的に合成可能な方法論の確立は、重要な研究課題である。本研究では、(1)脱芳香族化を伴う酸化的環化反応によるカルバゾール誘導体の合成法の開発、及び(2)カルバゾール誘導体における位置選択的な分子内アザーマイケル反応の開発、を基盤としたモノテルペンインドールアルカロイド類の網羅的合成法の確立を目指し、研究を行った。本年度は、当該アルカロイド類の網羅的合成法の基盤となる(1)及び(2)について検討を行った。 【研究結果】まず、脱芳香族的酸化的環化反応によるカルバゾール誘導体の合成法について検討を行った。その結果、基質となるジアリールアミン誘導体に対し、HFIP溶媒中、ジアセトキシヨードベンゼンを作用させることで、目的とするカルバゾール誘導体が得られることを見出した。次に、得られたカルバゾール誘導体を用いて位置選択的な分子内アザーマイケル反応について検討した。その結果、塩酸を作用させることで、C4位選択的にアザーマイケル反応が進行することを見出した。一方で、トリフルオロ酢酸を作用させると、C9a位にアザーマイケル反応が進行した生成物が優先的に得られることを見出した。これによりモノテルペンインドールアルカロイド類の網羅的合成法の基盤を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、本研究の基盤となる(1)脱芳香族化を伴う酸化的環化反応によるカルバゾール誘導体の合成法の開発、及び(2)カルバゾール誘導体における位置選択的な分子内アザーマイケル反応の開発について検討を行った。種々検討を行った結果、溶媒としてHFIP、酸化剤としてジアセトキシヨードベンゼンを用いることで望む環化体が得られることを見出した。また、続く位置選択的な分子内アザーマイケル反応においては、C4位及びC9a位それぞれに選択的に反応が進行する条件を見出すことに成功した。これによりモノテルペンインドールアルカロイド類の網羅的合成法の基盤を確立することができたので、研究計画は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、本年度に得られた成果を基盤に、モノテルペンインドールアルカロイド類の全合成研究について検討を行う。具体的には、10―メトキシーアスピドスペルミジン(C4位窒素置換タイプ)及びビンコリン(C9a位窒素置換タイプ)の合成研究に着手する。
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Causes of Carryover |
脱芳香族的酸化的環化反応によるカルバゾール誘導体の合成法の開発、及びカルバゾール誘導体における位置選択的な分子内アザーマイケル反応の開発において、反応基質の合成及び反応条件の最適化に予想以上の時間がかかった。そのため本年度に検討を予定していた天然物の合成研究に着手できなかった。そのため、消耗品費において差額が生じた。 次年度においては、予定通りモノテルペンインドールアルカロイド類の合成研究に着手する予定であり、そのための試薬や実験器具、消耗品の購入を行う。
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