2018 Fiscal Year Research-status Report
金属間化合物を電極触媒としたCO2還元を鍵反応とする新規有機合成反応の創成
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18K14211
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高山 大鑑 東京工業大学, 理学院, 助教 (40760369)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 金属間化合物 / CO2還元反応 / 電気化学反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度では,当初の研究計画である(A)金属間化合物電極材料の探索および(B)金属間化合物形成がその電極触媒特性に及ぼす影響の解明に向けた実験を実施し,以下の成果を得た. (A)金属間化合物電極材料の探索 Pd系金属間化合物微粒子を導電性炭素(ケッチェンブラック:KB)上に担持した触媒を調製した.この触媒とナフィオン液を混合させて得た触媒インクを,ホットプレス法によってカーボンペーパー上に固定することで金属間化合物電極を作製した.作製した電極触媒の電気化学特性を明らかにするため,水中におけるCO2還元反応を検討した.PdIn/KB電極のH2およびCO生成に対する電流密度はPd/KB電極のそれのそれぞれ約10倍および約20倍であった.これらPd系カソードおよび酸化コバルト担持モリブデンドープバナジン酸ビスマス光アノードからなる光電気化学セルを用いた光電気化学的CO2還元反応を行なった.両極間に1Vの外部電圧を印加した条件において光アノードに疑似太陽光(AM 1.5G)を照射したところ,PdIn/KBカソードを用いた系は,Pd/KBカソードを用いた系よりも高いファラデー効率で定常的にCOを生成した. (B)金属間化合物形成がその電極触媒特性に及ぼす影響の解明 Pd/KBおよびPdIn/KB電極を用いた種々のコントロール実験から,Pd/KB電極はCOによって顕著に被毒されるのに対し,PdIn/KB電極はほとんど被毒されないことが明らかとなった.同様の効果がRh/KB電極およびRhIn/KB金属間化合物電極の場合においても観察されたことから,金属間化合物相の形成が電極触媒表面への分子の吸着機構に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった.さらに,水中における電極反応中でのin situ XAFS測定を実施し,PdIn/KBの構造が電極反応中においても安定であることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CO2還元反応において,金属間化合物形成が貴金属系電極の電極触媒特性を改善することを明らかにした.しかし,当初の目標であったCO2を基質とした有機合成反応への展開が不十分であるため,当初の計画よりやや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究によって作製できるようになった様々な貴金属系金属間化合物電極を非水系におけるCO2還元反応に適用し,電気化学的に活性化したCO2と種々の有機化合物との反応を検討する.
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Research Products
(3 results)