2018 Fiscal Year Research-status Report
新型配向基が実現する有機硫黄化合物の触媒的C(sp3)-H結合官能基化
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18K14212
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野木 馨介 京都大学, 理学研究科, 助教 (60779148)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | C-H官能基化 / 遷移金属触媒 / 配向基 / スルフィミド / スルホキシド |
Outline of Annual Research Achievements |
有機硫黄化合物の触媒的C(sp3)-H結合官能基化を実現するべく、様々なスルフィミドやスルホキシド部位を有する化合物を合成し、モデル反応としてパラジウム触媒を用いたそれら化合物のC-Hヨウ素化を検討した。しかしながら、目的のヨウ素化体を得る条件を発見するには現状至っていない。副反応として、酸化条件におけるスルフィミドやスルホキシドの分解が問題となっている。今後は非酸化条件で進行する有機ハロゲン化合物を用いたC-Hアリール化やアルキル化を主として検討を進める。 一方、同研究を行う過程で、1-ナフチルメチルスルホキシドを用いた場合に、ペリ位(8位)のC-H結合が選択的にヨウ素化されることを明らかにした。導入したヨウ素部位および、配向基として利用したスルホキシド部位は、それらのC-IおよびC-S結合の切断を伴う官能基化が可能であり、ナフタレンの自在修飾を可能にする方法論となりうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スルフィミドやスルホキシド配向基を利用する触媒的C(sp3)-H結合官能基化の開発には至っていないが、問題点を顕在化させ、今後の方策を決定できた。 一方、同研究を行う過程で見いだした1-ナフチルスルホキシドのペリ位選択的C(sp2)-Hヨウ素化については研究成果をまとめ、論文投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
触媒的C(sp3)-H結合官能基化に関しては、酸化条件におけるスルフィミドやスルホキシドの分解が副反応として大きな問題となっている。今後は非酸化条件で進行するアリール化やアルキル化を中心に検討し、望みの反応の実現を目指す。 また今年度の研究において見いだした、ナフタレンのペリ位選択的官能基化についてもさらに検討する。具体的には、アルコキシ基やアミノ基などヨウ素以外の官能基導入法の開発を目指す。またナフタレンよりさらにπ系が拡張したアントラセンやピレンなどの多環式芳香族炭化水素に対しても本手法を適用することで、多環式化合物の新たな官能基化法を創出する。
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Causes of Carryover |
目的とする有機硫黄化合物の触媒的C(sp3)-H結合官能基化を実現する反応条件および硫黄配向基を開発することができておらず、次年度も多種の出発原料を合成する必要がある。また様々な反応を実施するために各種遷移金属触媒の使用が必要である。次年度も薬品や高価な遷移金属の塩を多種購入しなければならず、そのために次年度使用額が生じた。
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Research Products
(30 results)