2018 Fiscal Year Research-status Report
フラストレーション再生システムの拡張による高反応性分子会合体発生手法の確立
Project/Area Number |
18K14219
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
星本 陽一 大阪大学, 工学研究科, 講師 (30710074)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | カルベン / トリアリールホウ素 / Frustrated Lewis Pairs / 水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は高反応性ルイス酸-塩基会合体 (Frustrated Lewis Pair, FLP) を有機合成において活用するための実用性および汎用性の高い発生・取扱手法の開発に取り組んでいる。平成30年度の成果として、外部刺激に応じて反応活性点周辺の立体環境を大きく変化させることが可能な、新規N-ヘテロ環状カルベン (NHC) を開発した。 具体的には、従来のN-ホスホリル基をN-ホスフィンイミドイル基へと拡張し、さらにN上にキラルな置換基の導入も成功した。また、N上にルイス酸性な元素、例えばケイ素やホウ素を導入した置換基をもつホスフィンイミドイル基の導入にも成功した。N-ボリルホスフィンイミドイル基を有するNHCは分子内でルイス酸-ルイス塩基対を作るものの、カルベン-ホウ素結合が極めて強固であり、再開裂は困難であることがわかった。一方、分子内のホスフィンが高度に求電子的に活性化されており、ホスフィン-酸素二重結合を反応点とする人酸化炭素の固定化を達成した。 平成30年度に開発した新規NHCとトリアリールホウ素との錯体を用いて、研究代表者に独自なフラストレーション再生システムを構築し、熱刺激によるFLPの発生を検討した。水素の不均一開裂が進行することは確認出来たものの、N-ホスホリル基とN-ホスフィンイミドイル基を有するNHCでは、そのメカニズムに違いがあることを示唆する結果を得た。今後は、詳細な機構研究を進めることで、FLPの発生条件や活性を目的に応じて選択可能な初のライブラリー構築に繋がり、有機合成におけるFLPの活用の幅を格段に広げる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた新規なルイス塩基分子の創成とトリアリールホウ素との錯化反応まで研究が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたカルベン-ホウ素錯体と小分子、とくに水素や二酸化炭素の活性化・分子変換に関する研究の展開。および、そのメカニズム解析。
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Causes of Carryover |
ターゲット分子の合成スケールを数ミリモルスケールから始め、初期検討している段階であり、高純度試薬および高真空対応ガラスに充当していた消耗品経費が減少した。次年度には実験スケールをグラムスケールへと拡張する予定であり、ここに消耗品(高純度試薬・重溶媒)が相当量必要なため、経費の一部を繰り越す判断をした。また、成果発表にてオープンアクセス経費に計上していた費用を、次年度投稿の内容へ計上するために繰り越す判断をした(論文執筆中であり、本年度内に投稿が難しかった)。
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Research Products
(4 results)