2019 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of Functional Aromatic Heterocyclic Compounds by Asymmetric Oxidation Coupling
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18K14220
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐古 真 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20804090)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 酸化的ヘテロカップリング / キラルバナジウム錯体 / ヒドロキシカルバゾール / ラジカル-アニオンカップリング / 円偏光発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
エナンチオ選択的な酸化的ヘテロカップリングは光学活性ビフェノール化合物を効率よく与えることができるものの、反応の化学選択性や立体選択性の向上など、未だ多くの課題が残されている。 前年度は、キラルバナジウム(V)錯体を触媒とし、3-ヒドロキシカルバゾール(A)と2-ナフトール(B)を反応基質として用いるエナンチオ選択的な酸化的ヘテロカップリング反応を検討した。その結果、1:1の割合で両反応基質を反応させ目的生成物が最高84%収率、88% eeで得ることに成功した。本反応は官能基許容も高く、フェノール性ヒドロキシ基やピナコラートボリル基、ハロゲノ基を持つ反応基質は対応する生成物を良好な収率と高いエナンチオ選択性で与えた。 今年度は、本酸化的ヘテロカップリングの反応機構研究と生成物の応用研究に取り組んだ。最適条件下にラジカル捕捉剤であるTEMPOを加えて反応を行ったところ、目的物の収率は20%に低下した。5価のV触媒を用いる酸化カップリングでは、V錯体と反応基質の錯形成後にバナジウムへの一電子移動により反応活性種が生じると考えられている。それぞれの反応基質の酸化電位を測定したところAの酸化電位の方が低いと明らかになったため、まずカルバゾール化合物のラジカルカチオン種が生じると推定した。また、他の対照実験から、そのラジカルカチオン種にBが求核的に付加をするラジカル-アニオンカップリング機構で反応が進行していると考えた。得られた生成物を酸性条件下で加熱処理し、ピロール環とフラン間を含むヘテロヘリセンを合成した。さらに、銅触媒を用いるN-アリール化反応により窒素原子上へ芳香環を導入し、トリアリールアミン型ヘリセンへと誘導した。光学分割後、ヘリセンのキロプティカル特性を調べたところ、円偏光発光(CPL)特性を有していることが明らかとなった。
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