2018 Fiscal Year Annual Research Report
複合機能二核錯体を反応場とする単純アルケンの分子間ヒドロアルコキシル化
Project/Area Number |
18K14225
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
松並 明日香 青山学院大学, 理工学部, 助教 (70816389)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | イリジウム / ルテニウム / ヒドロアルコキシル化 / ヒドロアルキル化 / アルケン / 二核錯体 / ホスフィン / 1,3-ジカルボニル化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,不活性アルケンのヒドロアルキル化反応に有効なイリジウム(I)触媒系に着目し,その機構解析と新規ヒドロアルコキシ化反応への展開を図った。前者に関連し,触媒機能に関与すると考えられるジホスフィンBIPHEP(2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ビフェニル)が配位したイリジウム錯体の合成を検討した。また後者については,アルコール/ケトン間の水素移動触媒として機能するアミン-ルテニウム錯体がアルコールの活性化に寄与することを期待し,不活性アルケンの活性化の役割を担うπ酸性金属錯体ユニット(イリジウム錯体)を同一分子内に併せもつ新規複合二核錯体触媒を設計した。 本研究に先立ち,カチオン性イリジウム(I)錯体([Ir(cod)2](SbF6))(1)が,BIPHEP配位子の添加条件下,1,3-ジカルボニル化合物を基質とする不活性な単純脂肪族アルケンのヒドロアルキル化反応に有効な触媒として機能することが見いだされている。そこで触媒系中で生じる化学種を明らかにする目的で,塩化メチレン溶媒中,錯体1に対して1当量のBIPHEP配位子を室温下で作用させた結果,新規な[Ir(cod)(biphep)](SbF6)錯体(2)がほぼ定量的に生成することを確認した。錯体2は再結晶操作を経て単離可能であり,単結晶X線構造解析をもとにその構造を決定した。 さらに,不活性アルケンの活性化に有効なイリジウム(I)錯体に対するホスフィンを介したアミン-ルテニウム錯体の連結手法として,アミン-ルテニウム錯体を修飾し,η6アレーン配位子上へのホスフィンの導入を試みた。置換活性なアレーン配位子を有するルテニウム錯体に対し,種々の芳香族ホスフィンを反応させた結果,新規化合物の生成を1H, 31P NMRスペクトルにより観測した。イリジウム-ルテニウム二核錯体反応場構築の礎となる知見が得られた。
|
Research Products
(6 results)