2018 Fiscal Year Research-status Report
炭化水素の炭素-水素結合の活性化に向けた高機能金属ナノクラスターの開発
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18K14231
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
植竹 裕太 大阪大学, 工学研究科, 特任助教(常勤) (10755440)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 水酸化フラーレン / 金属ナノ粒子 / 接触還元 / 水溶化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はメタンの高化学選択的な官能基化反応を実現するための金属ナノクラスター触媒の開発を目的とする。水酸化フラーレン(C60(OH)n)で保護された金ナノ粒子が、フラーレン一分子あたり三分子のメタンを吸蔵できるという知見をもとに、本年度は、種々の水酸化フラーレン保護金属ナノクラスターの合成を実施した。 保護分子としてC60(OH)12を用い、種々の金属イオン(Pd, Pt, Rh)を水素化ホウ素ナトリウムによる液相還元を行ったところ、対応する金属ナノ粒子が2.3-3.0 nm程度の単分散ナノ粒子として生成していることがわかった。興味深いことに、C60(OH)12そのものは水にほとんど溶解しない一方、対応する水酸化フラーレン保護金属ナノクラスター(M:C60(OH)12)は水溶性のコロイドとして存在していることがわかった。現在のところ、ナノクラスターを保護しているC60(OH)12の水酸基の絶対量が増加するため、それに応じて水溶性が高くなっていると想定している。また、IG法によりコロイドサイズを測定したところ、金ナノ粒子の場合には9±5nm程度であり、これはクラスターに対して三層分であるのに対し、今回合成したPd, Pt, Rhに関しては、それよりも大きなコロイド径をもつことがわかった。 合成した種々のナノクラスターを用いてエチニルベンゼンの化学選択的還元反応を試みたところ、Pd:C60(OH)12が最も高い触媒活性を示すことがわかり、対応するエチルベンゼンが定量的に得られることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
水酸化フラーレンは位置異性体の混合物として得られるため、再現性良くナノ粒子を調製できるようになるまでに時間を要した。そのことでメタンの活性化に向けての触媒合成、反応検討までは今年度中に移行できなかった。しかしながら、水酸化フラーレン保護金属ナノクラスターの特異な水溶性など、本研究のさらなる展開が期待される成果が得られている。 また予備的な知見として、アルキンの水素による接触還元が効率よく進行するなど、気液反応において高い触媒活性を示す触媒系を見いだしているため、31年度にはこれらの知見をもとにさらなる発展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
メタンのC-H活性化反応のための触媒開発を推進すると同時に、現在までの結果について早期の論文投稿を行う。また、水酸化フラーレン保護金属ナノクラスターが水溶性を示すことから、コロイド表面には多数の水酸基が露出している状態となっていると想定される。このことから、当初計画していたシランカップリング剤などによる保護は問題なく進行することが期待され、触媒の安定化を行うことで実用的な触媒を創出する。
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Causes of Carryover |
当研究に係る経費の多くは物品費として計上しているが、ランニングコストが大きい試薬類、特に高額な水酸化フラーレン(\30,000円/g)が研究室に十分量在庫があったため、その分の経費を翌年度に繰越すこととなった。 翌年度ではXAFSやXPSなどの測定のため、本年度より多くの水酸化フラーレンが必要となるため、繰越金と合わせて使用する予定である。また旅費に関しても同様で高エネルギー加速器研究機構(つくば)への出張のため、今年度と比較して多く計上しており、これらを適切に運用していく。
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