2018 Fiscal Year Research-status Report
ピペットチップ型アッセイシステムによるがん変異腫瘍マーカーの高感度検出
Project/Area Number |
18K14252
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高野 恵里 神戸大学, 工学研究科, 学術研究員 (20634645)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 分子認識 / バイオマーカー / 表面プラズモン励起増強蛍光 / 分子インプリンティング / 全自動分析装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、前立腺がんのバイオマーカー糖タンパク質である前立腺特異抗原をモデルとして、生体由来の抗体では困難な、がん変異糖鎖を高度に認識してその結合情報を蛍光シグナルで検出可能な、情報発信型の人工糖鎖抗体を創製する。超高感度計測を可能にするため、検出系には表面プラズモン励起増強蛍光(SPF)を用い、全自動で測定可能な、ピペットチップ型アッセイシステムによるがん変異腫瘍マーカーの高感度検出を行う。 研究計画に基づき、本年度は、まず、PSAにメタクリロイル基を導入した後、4-ビニルフェニルホウ酸(VPB)を添加し、糖鎖と環状ジエステルを形成させ鋳型分子の調製を行った。アミノ化したガラス微小反応板表面に縮合反応により原子移動ラジカル重合の開始基(ブロモ基)を導入後、この鋳型分子を用いて、機能性モノマーおよび架橋剤と共に表面開始原子移動ラジカル重合法によるポリマー薄膜を形成した。このポリマー内からジスルフィド結合を還元により開裂し、糖鎖-VPB環状ジエステル結合を酸性条件下で切断してPSAを除去し、PSA認識空間を創出した。PSAを除去した後の結合空間内に残されたチオール基に対し、PIM処理による結合空間内へのレポーター分子(蛍光分子)の導入を行い、情報発信型インプリント薄膜を得た。オーダーメイドの扁平型ピペットチップに装着し、蛍光検出器を装着したリキッドハンドリングロボットにより全自動で測定可能にした。吸引したPSA対し濃度依存的に蛍光強度が変化し、結合情報を蛍光変化で読み出せることが分かった。以上のように要素技術は全て確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定している研究計画に沿ってほぼ予定通り研究は遂行している。アミノ化したプラズモニック微小反応板表面では行うことができなかったが、要素技術は全て確認できたので、特に大きな遅延に繋がることはない。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も、研究計画どおり研究を遂行する。アミノ化したプラズモニック微小反応板表面での未実行であったが、想定の範囲内であり、今後の計画に大きな影響を及ぼすことはない。 研究計画に基づき、調製した情報発信型人工糖鎖抗体薄膜について、PSAと糖鎖もたないヒト血清アルブミンの結合挙動から、糖鎖に対する親和性を評価する。さらに、VPBを加えないで重合した対照ポリマーで、人工糖鎖抗体の結合推進力が、VPBであることを確認する。
|
Causes of Carryover |
(理由) 次年度使用額は298円と小額で、これは年度内に予算を適正に使用した結果の誤差範囲である。 (使用計画) 予定通り予算を執行して行く中で消化される範囲内であるので、特段の計画は設けていない。
|