2018 Fiscal Year Research-status Report
シトシンバリアントの網羅的解析法の開発と細胞評価への応用
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18K14258
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
栗之丸 隆章 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (50769693)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イムノアッセイ / DNA / エピジェネティクス / シトシンバリアント |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、表面プラズモン共鳴(SPR)のセンサー基板上へDNAを効率的に固定化するために、片側にナイトロジェンマスタードを持ち、もう片側に環状ジスルフィドを有するリンカー分子L1を使用してきた。しかし、L1を使用した実験系では抗体がセンサー基板へ非特異吸着することがわかり、複数のシトシンバリアント計測に適さないと考えた。そこで、環状ジスルフィドをビオチンに置換した新規リンカー分子L2を新たに開発した。異なるL2濃度で修飾したオリゴDNAをSPRにて評価したところ、センサー基板上でDNAが十分に固定化され、かつ抗体の非特異吸着がほとんど生じないことを確認した。さらに、4種のシトシンバリアント(5-メチルシトシン, 5mC; 5-ヒドロキシメチルシトシン, 5hmC; 5-ホルミルシトシン, 5fC; 5-カルボキシルシトシン, 5caC)をそれぞれ有するオリゴDNAを固定化し、各種抗体を送液したところ、それぞれの抗体によってシトシンバリアントを選択的に識別することに成功した。また、次年度実施予定の細胞のゲノムDNAのシトシンバリアント率評価の予備検討として、4種のシトシンバリアントを含有するゲノムDNAをin vitroで調製した。具体的には、非メチル化λDNAをCpGメチラーゼによって5mCを導入し、さらにTET1によって5mCを5hmC/5fC/5caCに変換した。調製したλDNAをSPRで評価した結果、ゲノムDNAのシトシンバリアントを一括で評価することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存のリンカー分子L1から新規のリンカー分子L2に変更したことで、予定していたSPRイムノアッセイによるシトシンバリアントの識別に成功した。また、ゲノムDNAのシトシンバリアント計測も実現し、次年度以降の計画をスムーズに進められると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、細胞から抽出したゲノムDNAのシトシンバリアント分析を重点的に行う。薬剤や分化誘導因子を介して選択的に分化する細胞(C2C12, ES cell等)を選定し、抽出したゲノムDNAのシトシンバリアントを実際に計測可能か調べる。また、選定した細胞の分化過程にてゲノムDNAのシトシンバリアントを評価し、分化過程におけるシトシンバリアントの変動を追跡する。
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Causes of Carryover |
平成30年度では比較的安価な合成オリゴDNAを用いて分析を実施してきた。令和元年度はゲノムDNAの分析を中心に行うため、培養細胞・培養試薬・DNA抽出試薬等の調達に使用する。
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