2019 Fiscal Year Research-status Report
固体触媒を用いたグルタミン酸から2-ピロリドンへのワンポット高効率変換
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18K14261
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
菅沼 学史 鳥取大学, 工学研究科, 講師 (90731753)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グルタミン酸 / 2-ピロリドン / 水素化 / ルテニウム / ゼオライト |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の実績としてグルタミン酸から2-ピロリドンを合成することを見出し,収率60%を示した.この反応に対してアルミナにルテニウムを担持させた触媒の活性が高かった.今年度さらなる活性の向上を目指して担体の検討を行った.種々の担体を比較した中で塩基性担体では中間体のピログルタミノール収率が高かったが,酸性担体の中でもゼオライト担体の場合に2-ピロリドン収率が向上した.特に,MFIゼオライトにルテニウムを担持させた触媒が既報のアルミナ担体よりも金属当たりの活性が著しく高かった.この触媒調製での含浸担持で溶液のpHが高い場合に触媒反応中に金属がリーチングするが,低い場合にはリーチングせず安定した活性を示した.MFIゼオライトはゼオライトの中でも酸強度が強いため,イオン交換サイトの電子親和力が強いと考えられる.そのためMFIゼオライト上のルテニウムは正電荷を帯びた状態を形成する.グルタミン酸から2-ピロリドンの合成反応過程ではピログルタミノールの脱水素,脱カルボニルが進行するが,脱カルボニルにより一酸化炭素が生成し活性点を被毒する.しかし,ルテニウムは一酸化炭素の水素化活性が高いため全体の反応速度が速い.特に正電荷を帯びた状態が高い反応速度を示すことから,MFIゼオライト上のルテニウムは特に活性が高いと推察される.しかし,MFIゼオライトの細孔径は酸素10員環で狭いため,ピログルタミン酸の細孔内での拡散速度は遅いと考えられる.現在,MFIゼオライトと同程度の強さの酸強度をもち,大きな細孔をもつ酸素12員環をもつゼオライトを担体に用いる触媒の活性を評価している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載した「高活性かつ高選択性触媒の探索」は2020年度前期に終える予定だったが,1年早く研究成果をまとめることができ,現在論文にするためのデータ取りをしている.また共同研究等の話も進んでいる.また担持Ru触媒に第2成分を担持させた場合,活性に大きく影響を与えていることが分かった.今後は第2成分が触媒活性に与える影響を詳細に検討していく.
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Strategy for Future Research Activity |
2つの項目に分けて研究を進める. (1)担持Ru触媒の担体が触媒活性にあたる影響:活性に与える影響が見られているので,酸強度が強く細孔径が大きいゼオライトにルテニウムを担持させた触媒の活性を評価していく. (2)第2成分の添加:活性に与える影響が見られているので.「反応基質が金属上でどのように活性化されるのか」を検討していく. (3)ピログルタミン酸と構造が近いプロリンの水素化反応を行う.
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