2019 Fiscal Year Research-status Report
パルスグロー放電プラズマを用いた大気有機エアロゾルの直接質量分析
Project/Area Number |
18K14263
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
布目 陽子 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 助教 (80631598)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グロー放電プラズマ / 質量分析 / 二次元発光分光分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目では、SPI源からのグロー放電プラズマを観察するため、イオン源の試料導入側を石英ガラスに替え、イメージ分光器の測光部を同軸上に設置し、二次元発光分析を行った。SPI源へ導入するVOCの種類を変えていくと、数キロPaの圧力条件下において、対象化合物の化学構造によりイオン化反応が異なることが分かっている。これは、同軸状に配置した中空アノード電極-中空カソード電極を用いて生成しているSPI源内のプラズマが特異的な構造を有しているからであると予想される。そこで、二次元分光器を用いてSPI源内で生成されているプラズマの発光分光分析を行い、プラズマ内化学種の空間分布を測定し、これによりSPI源におけるイオン化反応を検討した。 測定に用いた化学種は、N2*、N2+、NOであり、最大強度をもつ発光線を選択した。得られた二次元発光イメージから、カソード電極内側にはN2*がほとんど存在していない事が確認された。一方、電極間にはN2+が存在していた。N2+はプラズマ中でバックグラウンドの水と反応し、水クラスターを生成しうる。その水クラスターが試料にプロトン供与し、プロトン付加イオン化が起こると考えられる。さらに、両電極全体に分布していたNOは、N2*によりイオン化されNO+となり、試料に対しNO+付加が起こると考えられる。なお、本研究の成果の一部は、口頭発表および論文発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
二次元分光器を用いて二次元発光イメージ画像を取得し、同軸円筒状の電極付近における化学種の分布を調べ、SPI源におけるイオン化反応について検討した。数キロPaにおける大気プラズマでは、大気由来のイオンは電位勾配がほとんどないカソード電極内側で生成したため、試料分子がソフトにイオン化されることが分かった。 次年度計画予定である実サンプル測定については、予備実験として用いる模擬試料について現在検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
実サンプル測定の予備実験として、室内環境測定用VOC混合標準原液等を用いて組成既知の模擬試料の作成・測定を行い、本手法の分析性能の確認を行う。その後、実験室内大気や沿道大気等を測定し、オンサイト分析の検討を行う。
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