2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of origins and pollution sources of ground water using chemical substance markers discharged from living, agriculture, and livestock activities
Project/Area Number |
18K14266
|
Research Institution | Center for Environmental Science in Saitama |
Principal Investigator |
竹峰 秀祐 埼玉県環境科学国際センター, 化学物質・環境放射能担当, 主任 (40512380)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 地下水 / 硝酸性窒素 / マーカー / LC/MS/MS / 人工甘味料 / 動物用医薬品 / ネオニコチノイド系殺虫剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
水環境で生活排水のマーカーとして、人工甘味料のスクラロースおよびアセスルファムが有効か検証を行うため、埼玉県内の河川水を採取し、測定に供した。また、各調査地点において人工甘味料と生活排水混入率の相関を調べた。スクラロース濃度と生活排水混入率の間に正の相関が認められた。一方、アセスルファムでは相関は認められなかった。生活排水混入率と相関が高いスクラロースは、生活排水のマーカーとなることが示唆された。 生活排水のマーカー候補物質のスクラロースおよびアセスルファムを対象として、下水処理場での動態に関する知見を得るため、各処理工程で採水し、対象物質の濃度を測定した。更に、放流水を1時間ごとに採水し、対象物質の時間変動を調べた。スクラロースは処理過程で濃度の変動は見られなかった。アセスルファムは反応槽で大幅に濃度が低下していることが分かった。また、1時間ごとに採水した放流水では、スクラロース、アセスルファムともに顕著な濃度の時間変動は見られなかった。放流水中のスクラロース濃度は、年間需要量から推定した生活排水中のスクラロース濃度と概ね一致し、市場に出回り排出されたスクラロースは、下水処理過程で分解・除去されることなく放流されていることが示唆された。 マーカー候補物質の土壌カラムリーチング試験を行った。試験対象物質はスクラロース、アセスルファム、カフェイン、ジノテフラン、クロチアニジン、イミダクロプリド、およびスルファメトキサゾールである。ガラス製のカラムに土壌を充填し、土壌カラムとした。土壌カラムに試験対象物質を添加したのち、人工雨水として塩化カルシウム溶液を送液し、浸透水を分取し測定に供した。浸透水から、スクラロース、アセスルファムが検出された。ほかの物質は、浸透水から検出されなかったため、土壌カラムに留まっていることや分解していることが考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人工甘味料のスクラロースは、生活排水の混入率と相関があり、水環境において生活排水のトレーサーとして利用可能であることを示した。加えて、スクラロースは、下水処理で除去・分解されず、水溶性が高く安定な物質であることを確認した。土壌カラムリーチング試験から、スクラロースおよびアセスルファムは、土壌に非常に浸透しやすいことを確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
硝酸性窒素濃度が高い湧水で高頻度調査を実施し、硝酸性窒素とマーカー候補物質の濃度変動及び相関性を調べる。また、周辺の土地利用、地形・地質等を調査し、マーカー候補物質の結果も踏まえ、汚染要因を検証する。
|
Causes of Carryover |
スケジュールの調整に伴い、2020年度に調査する予定であった高頻度調査を2021年度に行うこととなったため。繰越金はマーカー候補物質の分析に必要な消耗品の購入に充てる。
|