2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K14267
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
尾西 尚弥 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (50768223)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ギ酸 / 水素貯蔵 / 固定化触媒 / 脱水素化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,水素貯蔵のための固定化触媒の開発を行うことである.水素を化学水素貯蔵物質であるギ酸へと変換することは,エネルギーキャリアの観点から重要である.提案者は,既にギ酸を水素貯蔵体とするサイクルに有効な水溶性の高活性・高耐久性均一系触媒の開発に成功している.しかし,均一系触媒であることから回収が困難である上,高価なレアメタルを用いるため,実用化に不向きであった.このような背景のもと,本研究においては,水素社会実現を見据えた技術開発として,高性能均一系触媒を固定化し,回収可能な触媒を開発することを目標とする. 平成30年度は,提案者がこれまでに開発したイリジウム触媒骨格上に官能基を導入し,種々の担体へと担持した.調整した固定化イリジウム触媒を用い,ギ酸分解による水素発生反応を検討した.1Mのギ酸水溶液中,80℃で反応を行ったところ,触媒性能が発現し,3回以上の回収・再利用が可能である固定化触媒を見出した.同反応条件において,金属溶出を抑えるためには,金属と担体を繋ぐリンカーの種類が重要であることが分かった.しかしながら,高濃度のギ酸水溶液中,かつ,高温条件ではどのリンカーにおいても金属の溶出が確認されたため,さらなる検討が必要である.また,担体の種類も金属溶出に影響を与えることも見出している.担体として,シリカゲルを用いると容易に金属溶出が起こるが,メソポーラスシリカの場合には抑えられた.今後,リンカーや担体を検討し,より過酷な条件で金属溶出を抑えつつ複数回利用できる固定化触媒を開発する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに開発した高性能な均一系錯体を固定化することに成功し,反応条件によってはギ酸分解反応において,金属溶出を抑え,回収・再利用できる固定化触媒を開発できた.触媒構造と担体の組み合わせによって,金属溶出を改善させる知見を得た.また,ギ酸分解だけでなく,水素貯蔵工程であるCO2水素化によるギ酸合成に対しても低活性ながら触媒性能を発現することも見出していることから,現在までの進捗状況としては、概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度も継続して,金属溶出を抑える触媒・担体の組み合わせの探索を行う.最適な組み合わせを探索しつつ,ギ酸分解反応の条件の最適化にも取り組む.とりわけ,過酷な反応条件における触媒の長寿化・回収性能の向上を目指す. CO2水素化によるギ酸合成については,担持する配位子の改良を行うことで,触媒性能の向上を行う.これまでに効果的であることが判明している水酸基を有する配位子を固定化することを行う.
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた,高価なイリジウム試薬の使用量が少なく済んだため. 本年度は,イリジウム試薬購入や担体・触媒の組み合わせの為のスクリーニング用試薬購入に充当する.
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