2018 Fiscal Year Research-status Report
ロタキサン構造を経由する芳香族ポリケトンの連続的高分子反応系開発
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18K14271
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
塚本 匡 岩手大学, 理工学部, 助教 (70793165)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大環状錯体 / 希土類元素 / ロタキサン / 芳香族ポリケトン / 高分子反応 / 超分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は, 研究の鍵化合物であるスカンジウムマクロサイクル(ScMC)の合成法の確立とScMCを用いた低分子ロタキサンの合成を試みた. まず, ScMCの合成法について当初Sc:MC=1:2の錯体のみが得られていたが,合成条件を変えることでSc:MC=1:1の錯体も選択的に得ることが可能であることを見出した. これは, Scの配位数が異なり, かつ反応場もそれぞれで異なることが予想されるため, 触媒反応に用いた際に差異が見られることが予想される. 構造解析については, NMR, UV-vis, PL, ESI-MSによって行なった. 次に, ScMCを用いた低分子ロタキサンについては軸成分1, 輪成分1の[2]ロタキサンを収率2%程度で合成していたが, 反応条件を検討することで収率50%程度に改善することに成功した. 収率の向上において重要であったのは反応基質が均一に溶解していることであり, 軸成分, 輪成分そしてその貫通型Sc錯体が可溶であるアセトニトリルが適切であった. さらに, 輪成分を大過剰に加えてロタキサン合成を行うことで輪成分2, 軸成分1の[3]ロタキサンを合成可能であった. メタルテンプレート法によるロタキサンの合成は, ①金属を用いた貫通錯体の形成, ②末端封鎖反応, ③脱メタル化反応が必要となる. 従来③の脱メタル化反応には高圧化でのCOや毒物であるKCNなどハイリスクな試薬を用いる必要があったが, ScMCを用いるロタキサンの本合成方法は, 末端封鎖反応に水を加えるだけで脱メチル化反応が進行するためOne-potで行うことが可能であり,非常に簡便な方法となっている
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ScMCを用いたDiels-Alder反応の検討を様々な基質を用いて行っていたが, 一般的な錯体であるSc(OTf)3と比較して優位性のある結果が得られず, Diels-Alder反応の検討を一度断念したため. 11月に東京工業大学から岩手大学への異動が研究代表者にあったため.
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Strategy for Future Research Activity |
ScMCを用いて検討する高分子反応について, Diels-Alder反応, McMurryカップリング, Fries転位の3つをあげていた.本年度は成果の出なかったDiels-Alder反応の検討は一度保留としFries転位の検討を行う. また, 合成したScMCの貫通特性の詳細を明らかにするべく, 様々な軸成分との錯体形成に関して調査を行う予定である.
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Causes of Carryover |
当初参加予定であった日本化学会第99春季年会の参加および成果発表を行わなかったため.
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