2018 Fiscal Year Research-status Report
動的共有結合を利用する環状高分子の合成と機能材料への展開
Project/Area Number |
18K14272
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
青木 大輔 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (80736950)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 動的共有結合 / 環状高分子 / ラジカル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、「動的共有結合」が生み出す特異な「構造再編成」を利用することで、従来合成が困難であった環状高分子の効率的な合成を目指す。初年度(平成30年度)は、熱によってその動的特性を制御可能な(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)ジスルフィド(BiTEMPS)の水酸基誘導体(BiTEMPS-OH)をジイソシアネート基と反応させることで、BiTEMPS骨格を繰り返し単位に有する直鎖状の高分子(P-1)を合成した。合成したP-1を希釈条件下で加熱することで結合交換反応を引き起こし、エントロピー的に有利な環状体 (P-2) へと選択的に誘導することに成功した。BiTEMPS-OHと反応させるジイソシアネートの構造を高分子とした場合にも、同様の反応が進行し、環状高分子を合成できることもわかった。本反応系を適用できる分子骨格の拡張を目指して、BiTEMPS-OHの水酸基とアクリル酸2-イソシアナトエチルを反応させることでチオ-エン反応活性なアクリレート基を有するBiTEMPS誘導体(BiTEMPS-Ac)を合成した。BiTEMPS-Acと末端にチオール基を有しているポリエチレングリコール(PEO)を用いて同様の手順で環化を行ったところ、環状のPEOを合成することにも成功した。本手法は環状高分子の合成法のみならず、超分子的な包摂能や反応場を提供する低分子環状化合物の合成法へも展開できることから今後の展開が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した分子設計・反応設計通りに反応が進行したためスムーズに研究を推進できた。また予想以上にラジカルの安定性があり、大気中でも環化反応が進行したことは今後さらなる応用展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本反応系を適用できる分子骨格の拡張を目指して、種々のBiTEMPS誘導体や両末端官能基化された高分子(マクロモノマー)の開発を進める。さらに環化反応後に多少なりとも存在する末端構造を完全に取り除くための反応系を確立する。
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