2018 Fiscal Year Research-status Report
多様な機構に基づく炭素-硫黄結合の可逆的活性化を鍵とする特殊構造高分子の合成
Project/Area Number |
18K14274
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
内山 峰人 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10779680)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 高分子合成 / カチオン重合 / リビング重合 / 炭素-硫黄結合 / 特殊構造高分子 / 不斉カチオン重合 / 逐次重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、炭素-硫黄結合の形成や可逆的活性化に加えて、炭素-硫黄結合を介した異種の重合反応の組み合わせにより、分子量の制御だけでなく、周期構造や分岐構造などの特殊構造を自在に制御可能な重合系の確立を目的とした。今年度は、(1)ジビニルエーテルとジチオールを用いたカチオン/ラジカル逐次重合系の開発と(2)炭素-硫黄結合の可逆的活性化に基づくリビングカチオン重合を用いた構造制御について検討を行った。 (1)では、二官能性のジビニルエーテルとジチオールに対して、酸触媒を作用させることでチオアセタールの形成を介した逐次カチオン重付加反応が、また、ラジカル発生剤あるいはUV照射を作用させることで、チオエーテルの形成を介した逐次ラジカル重付加反応がそれぞれ進行することを明らかとした。さらに、酸触媒とUV照射を組み合わせることで、カチオン/ラジカル同時重付加反応が進行することを見出した。 (2)では、これまでに見出しつつあった炭素-硫黄結合を有するチオエーテルを可逆的連鎖移動剤として用いたベンゾフランの不斉リビングカチオン重合において、今年度は様々な光学活性アミノ酸誘導体をキラル添加剤として用いることで、キラル添加剤に基づく対アニオンの構造が立体構造の制御に与える影響についてより詳細に検討を行った。キラル添加剤として様々なβ―アミノ酸が有効であったが、とくに、アミノ基を保護した誘導体を用いることで、ポリマーの旋光性がさらに向上することがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度目的とした研究は順調に進行し、良好な結果が得られたと考えられる。 一方、研究計画として予定していた研究内容の一つが、今年度、他の研究機関に報告されたため、研究計画を改善する必要があった。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度も、炭素-硫黄結合の形成や可逆的活性化を介した、特殊構造高分子の合成について検討を行う。本年度の研究(1),(2)について引き続き検討を行うとともに、(3)硫黄とポリビニルエーテルからなるマルチブロック共重合体の合成や、(4)環状チオアセタールを用いた周期的に官能基を有するポリマーの合成について検討する。
|
Research Products
(12 results)