2018 Fiscal Year Research-status Report
ステレオブロック重合法を用いた高性能ゴム材料の開発
Project/Area Number |
18K14276
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 亮 広島大学, 工学研究科, 助教 (60640795)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 配位重合 / 希土類触媒 / ボロヒドリド錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、より精密なステレオブロックポリマー合成のため, 助触媒に対して従来系よりも鋭敏に応答するネオジム触媒系の開発を行った。その結果, アニオン性μ2-ボロヒドリドネオジム錯体とジアルキルマグネシウム, 修飾メチルアルミノキサン(MMAO)を組み合わせた触媒系がNd(BH4)3(thf)3錯体を用いた系に比べてより高cis-1,4特異的(>90%)なイソプレン重合を進行させることを見出した。また, この錯体は, MMAOを加えない場合にもNd(BH4)3(thf)3錯体より高いtrans-1,4特異性(>95%)を示した。μ2-ボロヒドリド錯体はブタジエン重合においても高い立体特異性を示し, そのcis-1,4特異性はCp*Nd(BH4)2(thf)2錯体とほぼ同等であった。錯体のX線結晶構造解析やNMRによる反応追跡から, μ2-ボロヒドリド錯体を用いた重合における高立体特異性は, ボロヒドリドの配位数の減少によってμ3-ボロヒドリド錯体よりもNd-B結合が長くなったこと, またそれに伴ってボロヒドリドの反応性が高くなったことによって現れたことも明らかにした。ホウ素上にアルキル基を1つ有するμ3-ボロヒドリドネオジム錯体の単離にも成功したが, イソプレン重合における立体特異性はNd(BH4)3(thf)3錯体よりも低かった。 他には, ステレオブロックポリマーの末端官能基化についても検討した。ネオジム錯体を用いたイソプレンのステレオジブロック重合を行った後, 乾燥空気を用いて末端を酸化することで, cis-1,4末端に水酸基が導入されたステレオジブロックポリイソプレンの合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画においては、初年度はネオジム錯体触媒を用いたステレオブロックポリマーの合成におけるCp*配位子以外の影響について検討し、cis/trans特異性の向上可能性や分子量の限界、モノマーの適用範囲について検討する予定であった。μ2-ボロヒドリドネオジム錯体を用いた一連の検討において、特にcis/trans特異性の向上において顕著な成果を挙げることができたので、研究計画は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初予定通り、多分岐構造を有するステレオブロックポリマーの合成に着手する。既に末端官能基化ステレオジブロックポリマーの合成に成功しているので、これを縮合させて星型ポリマーを合成する。また、初年度には未検討であった物性評価についても行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は概ね計画通りに予算を執行してきたが、消耗品の支出が想定より若干少なく済んだので、全予算の1%未満に当たる7586円が翌年度に繰り越しとなった。次年度使用額は全て消耗品として算入する予定である。
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Research Products
(4 results)