2019 Fiscal Year Research-status Report
ステレオブロック重合法を用いた高性能ゴム材料の開発
Project/Area Number |
18K14276
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 亮 広島大学, 工学研究科, 助教 (60640795)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 配位重合 / ネオジム錯体 / 末端官能基化 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、ステレオブロックポリマーの開始末端への官能基導入について検討した。様々なジアルキルマグネシウムを開始剤として用いてネオジム触媒によるイソプレン・ブタジエンの重合を行うと、マグネシウム化合物の構造に対応した官能基を有するステレオブロックポリマーが得られ、官能基の導入率も高かった。前年度の結果と併せると、ステレオブロックポリ共役ジエンの開始末端と終了末端の両方を官能基化することに成功した。 これとは別に、ネオジム錯体のスクリーニングを行う際に、一部の錯体におけるボロヒドリド配位子の特異な働きを明らかにした。クロロビスボロヒドリドネオジム錯体は、他のボロヒドリド錯体とは異なりトリアルキルアルミニウムによって活性化され、イソプレンの重合を進行させるが、ホウ素上の置換基の構造によってcis特異性は大幅に変化した。錯体とアルキルアルミニウムの反応をNMRで追跡したところ、元々ボロヒドリドに結合していた置換基は全てアルミニウム上へと移動していた。したがって、本重合における活性種はカチオン性クロロアルキルネオジムとアニオン性アルミニウムからなる構造をしており、ボロヒドリド配位子の構造が対アニオンの電子状態を変化させ、それによって重合の立体特異性が大きく変化したと考えられる。これまでに希土類錯体を用いた配位重合における立体特異性が論じられる際にはカチオン種周辺の立体的・電子的環境のみが考慮されてきたが、対アニオンの構造も含めた設計指針を示した点で、この知見は重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では2年目以降に星型ポリ共役ジエンの合成と物性評価を行う予定で、まず官能基化された腕ポリマーを合成し、それを縮合させることで星型ステレオブロックポリ共役ジエンを合成する予定であった。当初計画していたアルキル亜鉛を用いて一挙に両末端を官能基化する方法とは異なるが、アルキルマグネシウムを用いた開始末端官能基化および酸化反応を用いた終了末端官能基化に成功した。また、これらの一連の検討の中で、ネオジム錯体を用いた共役ジエン重合における重合機構に関する新たな知見も得られた。したがって、計画は順調に進行していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は予定通り、縮合反応による星型ポリマーの合成と物性評価を行う。当初予定にはなかったが、ステレオブロックポリマー開始末端へのアルケニル基の導入にも成功しているので、配位重合を用いた星型化についても検討する。
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Research Products
(7 results)