2020 Fiscal Year Research-status Report
Reducing Friction of Hydrogels toward a soft artificial cartilage
Project/Area Number |
18K14285
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
八島 慎太郎 九州大学, 理学研究院, 助教 (40768842)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ハイドロゲル / 滑り摩擦 / 潤滑 / 関節軟骨 / 表面パターニング / 摩耗 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハイドロゲルは柔らかく、水を多量に含む、といった特徴から生体代替組織への応用が期待される物質である。本研究では、ハイドロゲルの滑り摩擦と表面形状の関係を明らかにし、人工関節軟骨などへの生体代替組織に向けた低摩擦化手法を開発することを目的にしている。ハイドロゲルの表面に関節軟骨にも存在するような凹みの構造、あるいは凸の構造を付与し、表面滑り摩擦などを測定してきた。 昨年度までには摩擦が表面凹みによって低減することとその原理について、またゲル表面形状が凝着仕事に及ぼす影響について調査してきた。 これまでの検討では主に疎水的な摩擦相手基板を用いていたが、濡れ性がよい親水的な摩擦相手基板を用いたところ、凹みの構造をもつゲルの摩擦力は特に高速度において低減することがわかった。一般にゲルは、親水的な基板に対して低摩擦であるが、潤滑液による粘性抵抗の影響で高速度は摩擦力が上昇する傾向にある。しかし表面パターニングにより、高速度においてもゲルの低摩擦化が可能であることが示された。 また、滑り運動前のLoading time依存性について調べた結果、凹みの構造による摩擦低減の効果はLoading timeが長くなっても損なわれないというデータが得られている。関節軟骨においても、滑り運動前の静止時間には大きな幅があるため、表面に存在する凹みの構造が同様に低摩擦性を保持している可能性が示唆される。 凸の形状をもつゲルでは接触面積が小さくなることから、摩擦力が低減することが考えられたが、Flatな形状と同等、あるいはFlat以上の摩擦力を示す場合もあることがわかった。水中における固体基板にゲルなどのソフトマターを接触・接着させるための新規戦略として表面形状が有効に働くことを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスへの対応のため、実験可能な期間が予定よりも短くなり、特にパターンを付与したゲルの摩耗評価について十分なデータを取ることができなかった。摩耗評価については既に確立した手法を使用可能であるため、次年度でデータ取得が可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
表面凹み構造をもつハイドロゲルの摩擦・摩耗評価を引き続き行う。また、潤滑液中に高分子などを添加することで生体環境に近い状況での摩擦測定を行い、生体代替素材としての評価を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス対応により、中止された国際学会参加のための参加費及び旅費や、未了の摩擦・摩耗評価のための試薬等の経費が残金として生じた。次年度は引き続き行う測定に使用する試薬類や、摩耗観察用の光学部品などに使用予定である。
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