2019 Fiscal Year Research-status Report
光刺激でガラス転移温度が変化する高分子を用いた高速フォトメカニカル材料の創製
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18K14291
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
楽 優鳳 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (00784109)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 刺激応答性 / ガラス転移温度 / 光機械 |
Outline of Annual Research Achievements |
光等の外部刺激に応答して迅速かつ可逆的に変化に着目した新規材料に関する研究が世界的に盛んであり、多くの応用として期待されている。本研究では、液晶ネットワークへ新規高速固体―液体転移性能を有するアゾベンゼンモノマーを組み込むことによって、室温で可逆的なガラス転移温度の変化を示し、光照射で迅速な機械的作動を示す新しい光応答性液晶ポリマー材料を創製する。 昨年度は、光溶融分子を規則構造を持つ液晶ポリマーネットワークに導入して、新規自立型ポリマーフィルムを創製した。この規則的な構造を有する液晶高分子ポリマーフィルムは、紫外線と可視光照射によって、迅速かつ可逆的なガラス転移温度変化を示すことが確認できた。光子の吸収は、フィルムの表面で起こり、その後、残留光子がフィルムの内部に入り、更に吸収される。フィルムの表面と裏面の間のガラス転移温度値の差が生じたことで、フィルム内部にはひずみの差が生まれて、フィルム自体が入射紫外線の方向に曲げ、高速光応答性の達成が可能となった。光応答性の機能分子を液晶ネットワークの秩序だったパラメータと結合することによって、規則的構造における集合的な分子運動を増幅することがわかった。また、ポリマーの紫外線照射前後にX線回折、紫外可視分光光度計、フーリエ変換赤外分光光度計等を用いて、構造変化を明らかにした。さらに、紫外線照射前後の液晶高分子フィルムの力学特性も測定した。紫外線照射後の高分子フィルムのヤング率は、紫外線照射前の値より小さいことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
規則的な構造を持つ刺激応答性ポリマーフィルムの創製を実現した。このポリマーフィルムでは光吸収によって、迅速かつ可逆的なガラス転移温度変化を確認した。更に、ガラス転移温度の変化により、ポリマーフィルムの光機械応答を著しく向上させるという方法論について当初の目的に沿って進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
効率的に光エネルギーを機械的運動へ変換させるため、自由体積を向上させる液晶モノマー分子および高感度光応答性を有するモノマー分子デザインの導入を実施する。また、合成した液晶ポリマーフィルムについては、光機械応答性の評価を実施する。
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Causes of Carryover |
今年度三回の学会が参加したが、その中二回の参加費と旅費が不要であった。
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Research Products
(7 results)