2019 Fiscal Year Research-status Report
Polariton Lasing from Single-Crystal Self-Cavities of Thiophene/Phenylene Co-Oligomer
Project/Area Number |
18K14299
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
水野 斎 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (60734837)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | (チオフェン/フェニレン)コオリゴマー / マイクロキャビティ / ポラリトン |
Outline of Annual Research Achievements |
(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー (TPCO)の1種である5,5′-bis(4’-methoxybiphenyl-4-yl)-2,2′-bithiophene (BP2T-OMe)の薄膜 (105 nm)を活性層とするDBRマイクロキャビティを作製し,その光学特性を調べた.DBRミラーは,Ta2O5とSiO2から成る6ペアの交互積層膜で構成される.BP2T-OMeは,DBRミラー上に直接蒸着すると基板に斜立して配向するため,基板に対して分子軸が寝て配向する5,5'-bis(4'-cyanobiphenyl-4-yl)-2,2'-bithiophene (BP2T-CN)を予め5nmまたは10nm蒸着し,その上にBP2T-OMeを100nmまたは95nm蒸着した.BP2T-CN/BP2T-OMe二層膜のX線回折測定を行ったところ,BP2T-OMeの(020)面からの回折ピークが観測されたため,BP2T-CN薄膜上ではBP2T-OMe分子は寝た配向をとることが明らかとなった.また,BP2T-OMe単層膜を活性層とするマイクロキャビティの透過スペクトルと角度分解発光スペクトルを比較した結果,透過と発光スペクトルのピークがほぼ同じエネルギー位置に観測されており,発光スペクトルのピークエネルギーが検出角度の増大に伴って高エネルギー側にシフトしたことから,この発光スペクトルのピークは,下枝ポラリトンに起因するものと結論付けた.さらに,BP2T-OMe蒸着膜とBP2T-OMeマイクロキャビティの発光スペクトル及びその発光寿命を調べた結果,マイクロキャビティでは,蒸着膜に比べてシャープなスペクトルを示しているうえ,発光寿命も蒸着膜に比べて短寿命化していることがわかった.この短寿命化は,パーセル効果に起因すると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
BP2T-OMe単層膜を活性層とするマイクロキャビティの光学特性の評価を行うことはできたが,BP2T-CN/BP2T-OMe二層膜を活性層とするマイクロキャビティを作製し,マイクロキャビティポラリトンの存在を実証するには至っていない.また,現在のDBRの反射率は98%程度であるため,更なる高反射率化が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
BP2T-CN/BP2T-OMe二層膜を活性層とするマイクロキャビティを作製し,マイクロキャビティポラリトンの存在を実証するとともに,ポラリトンレーザー発振の観測を目指す.また,このマイクロキャビティポラリトンの光学特性と単結晶キャビティにおいて得られるレーザー発振特性を比較し,前閾値領域において観測される発光スペクトル分裂と遅延型パルス発光が励起子ポラリトンに起因する現象であるのかどうかを検証する.
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Research Products
(19 results)