2018 Fiscal Year Research-status Report
局在表面プラズモン共鳴励起による量子ドット光電変換素子の光応答広帯域化
Project/Area Number |
18K14309
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
Li Xiaowei 北海道大学, 理学研究院, 助教 (90794496)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 局在プラズモン / 半導体量子ドット / 金属ナノ構造 / 強結合 / 光電気化学制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
半導体量子ドットを用いてプラズモニック光電変換デバイスを創製することは、光電変換能の更なる高効率化のためにも重要である。本研究では、強い局在プラズモンによってPbS量子ドットにかける多重励起子生成に加えて、強結合系の形成による吸光帯域の拡大によって高効率的な光電変換能を実現する系を構築する。また、構造が制御された金属ナノ構造によるプラズモンとバンドギャップエネルギーが制御されたPbS量子ドットの励起子の結合状態を評価し、電気化学電位により結合状態制御に関する知見を得る。まず初めに、バンドギャップエネルギーが金ナノ構造のプラズモンに合わせるPbS量子ドットを選択して電極を構築した。電子線リソグラフィ手法により、導電性基板に種々の形状や間隔を制御しながらLSPR共鳴エネルギーを有する金ナノボウタイ構造基板を作成することに成功した。この基板にスピンコーターでPbS量子ドットの担持量を制御しながら担持した。次に、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)とPbS量子ドット励起子間の強結合状態の形成について評価を行った。電気化学印加電位が制御された環境下にて、in-situ電気化学光学顕微散乱スペクトル測定を行ったところ、強結合を示唆すると考えられるピークの分裂が観測された。なお、印加電位が負電位側に制御すると、または量子ドットの担持量が増加すると、エネルギーの分裂する挙動が顕著に現れ、強結合の増強効果への寄与が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PbS量子ドットと、導電性基板に作製した種々の形状や間隔の金ナノボウタイ構造を励起・共鳴波長に基づき組み合わせ、系の光学特性はin-situ電気化学光学顕微散乱スペクトル計測を通じてハイブリッドエネルギー状態の形成が確認された。また、量子ドットの数、電場強度、偏光異方性、電極電位等の種々の条件を変化させることで強結合系の形成を制御し、量子ドットの励起子と金属ナノ構造のLSPRが効率的に相互作用する条件を探索した。シミュレーションによって量子ドット-金ナノボウタイ強結合系の結合強度定数を評価した。以上の結果については国内会議にて口頭発表済であり、投稿論文準備中である。 強結合構造を酸化チタン上に導入した電極デバイスを構築し、局在電場によって多重励起子が効率的に励起されている系の光電流及び起電力の特徴を明確することを試みている。さらに結合性の向上のために種々の半導体の導入を検討した。多重励起子生成のできるPbS量子ドットに限らず、ZnS-AgInS2などの化合物半導体の量子化構造についても検討を行った。さらにスピンバレーロックという性質を持つ層状半導体MoS2量子構造を使ってプラズモンとの相合作用と光電変換率の向上化について検討している。それぞれの半導体のバンドギャップエネルギーに合わせるために、プラズモニック特性の制御された金属ナノダイマを導電性基板に角度分解ナノスフェアリソグラフィにより作成した。電気化学電位に依存した散乱スペクトル変化についても検証し、動作条件下において最も強い強結合状態となる要件を明確とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後における研究では、暗視野電気化学散乱スペクトルにより、構築された半導体量子化構造―銀ナノダイマのシステムに、量子閉じ込め、プラズモン誘起エネルギー、電場強度、偏光異方性、電極電位等の種々の条件を変化させることで強結合系の形成を制御し、系の結合強度定数、振動子強度、モード体積等の性質を評価する。更に、高効率の光電変換デバイスの創出を目指す。具体的には、強結合系の形成した金属構造を電極として作製し、酸化チタンに基づく光電変換デバイスを構築し、単一な励起波長や電位、偏光異方性、光強度、溶液pH値等の種々の条件で系の光電流または水素発生量を測定する。プラズモン光電変換デバイスの利用波長域広帯域化を達成する。
|
Causes of Carryover |
今年度の本研究では、当研究室の研究が大きくなるために、試料作製に必要な消耗品が既に購入された原因で、翌年度分として請求した助成金と合わせた使用することになる。使用計画について、試料作製のために消耗品購入に使用する。消耗品は、金属材料、ガラス器具類、高純度ガスなどである。加えて、一部は学内共用施設である電子線微細加工装置の使用料に充当する予定である。
|