2019 Fiscal Year Research-status Report
Pt酸化物を備えた電気化学リアクターによるCO2からメタノールへの高効率変換
Project/Area Number |
18K14311
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高橋 弘樹 秋田大学, 理工学研究科, 講師 (60632809)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 二酸化炭素 / 電解還元 / Pt酸化物 / その場赤外分光測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
化石燃料の大量消費によって大気中のCO2濃度は増加の一途をたどり,地球温暖化による酷暑や台風などの過酷な気象現象の引き金となっている.本研究では,Pt酸化物系電極触媒を用いて,CO2電解還元・メタノール同時合成電気化学リアクターを開発することを目的としている.すなわち,火力発電所等から排出されるCO2を電解槽に導入し,高活性な電極触媒によってCO2をメタノールに変換し,メタノールを有効利用するシステムを想定している.本研究ではこれまでに,H2SO4またはHClO4を電解質,反応性スパッタで作製したPtおよびPt酸化物薄膜をカソード触媒として,CO2電解還元試験を実施した.その結果,Pt酸化物はPtよりもCO2電解活性が高く,還元生成物の1つがメタノールであることを明らかにした.また,電極触媒のキャラクタリゼーションから,Pt酸化物中のOの存在がCO電解還元活性を向上させていることを推察した.令和元年度には,表面増強赤外分光法による電解生成物のその場測定システムを構築し,CO2電解還元生成物の生成挙動を調査することでCO2電解還元反応メカニズムを推定し.Pt酸化物がPtよりも優れたCO2電解活性を示した要因を解明した.また,CO2電解還元活性に及ぼすPtへのCeO2やCuなどの添加添加効果の解明に着手した.本研究並びに関連研究の知見に基づいて,雑誌論文出版1件,学会発表13件を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①Pt酸化物の高活性発現機構の解明:表面増強赤外分光法による電解生成物のその場測定システムを構築し,CO2電解還元生成物の生成挙動を調査することでCO2電解還元反応メカニズムを推定し.Pt酸化物がPtよりも優れたCO2電解活性を示した要因を解明した.すなわち,Pt電極上ではCOを,Pt酸化物電極上ではHCOO-を経由してCO2電解還元反応が進行することを明らかにし,この差異によってPt酸化物が優れたCO2電解活性を示したと推察した.②PtのCeO2やCuなどの異なる成分を添加することで,CO2電解還元活性が向上することを発見した. したがって,おおむね当初の予定通りに研究が進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は,表面増強赤外分光法による電解生成物のその場測定システムを構築し,CO2電解還元生成物の生成挙動を調査することでCO2電解還元反応メカニズムを推定し.Pt酸化物がPtよりも優れたCO2電解活性を示した要因を解明した.今年度は,ガスクロマトグラフ質量分析計によるメタノール以外の電解生成物の定性・定量を進める.また,CO2電解還元活性に及ぼすPtへのCeO2やCuなどの添加添加効果を明らかにすることで,CO2電解還元触媒設計指針の確立を目指す.最終的には,研究で開発した高活性CO2電解還元触媒,カーボン粉末およびカチオン交換樹脂を混合し,触媒支持体に塗布して電解セルを構成する.
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Causes of Carryover |
他の財源から物品費を支出することができたため,次年度使用額が生じた. 用途としては,表面増強赤外分光測定の消耗品,ガス分析の機器使用料,国際学会発表のための旅費を想定している.
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Research Products
(15 results)