2018 Fiscal Year Research-status Report
Precise synthesis of photoreaction system based on creation of solid interface in nano-controlled space
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18K14315
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
高嶋 敏宏 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60644937)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 光触媒 / 人工光合成 / 水素 / 固体界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
光反応において界面は固体間の電荷授受や化学反応を起こす空間として極めて重要な役割を果たすが、その制御は現在も依然として容易ではない。そこで本研究では光‐化学エネルギー変換を指向した高精度な光反応系の構築に向けて、ナノレベルで制御された固体界面の創製を目指して研究を進めている。具体的には酸素発生光触媒と水素発生光触媒を金属ナノ粒子を介して接合した二段階励起光反応系の構築において、空間選択性を持った固体界面創製を目的としている。一年目である今年度は、接合した際に光触媒間での電荷移動に有利な特性を持つ光触媒試料の作製や、生成箇所を限定できる光触媒の作製手法の検討を進めてきた。まず酸素発生光触媒の作製では十面体形状を有するバナジン酸ビスマス粒子の合成を行った。この粒子では(040)面と(110)面が表面に現れ、これらには光励起時の励起電子と正孔がそれぞれ選択的に集まることが知られている。そこで本研究では光励起電子による還元を利用して導電層となる金属ナノ粒子をこの結晶面に選択的に析出させることに成功した。そして、これを介して水素発生光触媒と接合させた二段階励起光反応系を作製し、可視光による水分解を達成した。得られた水分解活性は無作為に接合した試料と比較して2倍以上高く、接合界面を規定した効果が現れたと考えられる。また、水素発生光触媒では銅インジウム硫化物を始めとする硫化物系光触媒に着目し、硫化物は金と親和性が高いことを利用することにより、金ナノ粒子の表面を反応開始点としてその表面に選択的に合成する手法を開発することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では酸素発生光触媒と水素発生光触媒を金属ナノ粒子を介して接合した二段階励起光反応系の構築における固体界面制御を目的としており、これまでに光触媒間での電荷移動に有利な特性を持つ光触媒試料の作製や、生成箇所を限定できる光触媒の作製手法の検討を進めてきた。具体的には酸素発生光触媒として励起電子と正孔を空間的に分離できる特性を有する十面体バナジン酸ビスマスの合成や、金ナノ粒子を反応開始点とする硫化物系水素発生光触媒の合成手法の開発に成功した。特に十面体バナジン酸ビスマスでは励起電子による還元反応を用いることで導電層となる金属ナノ粒子を単一の結晶面に選択的に担持し、その上に水素発生光触媒を接合した光触媒を作製することにも成功した。作製した光触媒は可視光下での水分解活性を示し、さらに高活性化により接合界面を制御した効果も確認できた。同結果は査読付き国際学術誌に掲載された。以上のように、本研究は現在まで当初の計画よりも順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は現在までに得られた成果を基に二段階励起光反応系の構築を進めていく。具体的には現在までに作製できている二段階励起光反応系では金属ナノ粒子と水素発生光触媒の接合において選択性に乏しく、水素発生光触媒と酸素発生光触媒が直接接触してしまうことを防ぐことができない。そこで、今後は本研究で開発した金属ナノ粒子を反応開始点とする硫化物系水素発生光触媒の合成手法を利用し、酸素発生光触媒上に光還元で析出させた金属ナノ粒子上で直接水素発生光触媒を生成させ、二種の光触媒が金属粒子を介して一方向へと整列した二段階励起光反応系を作製したいと考えている。また、結晶面異方性を利用して励起電子と正孔を空間的に分離できる光触媒として、酸素発生光触媒で十面体バナジン酸ビスマスを合成したように水素発生光触媒でも同様な特性を有する光触媒を創製を目指したいと考えている。
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Causes of Carryover |
今年度、本研究課題と並行して民間の研究助成にも採択を受け、本研究と重複する消耗品や設備の購入に要する費用が研究助成による予算からも賄うことができたため、本研究課題の予算の使用額が当初計画よりも少なくなった。これにより生じた次年度使用額については、本研究課題の遂行をより円滑にするために予め次年度分として請求している助成金と合わせ、材料合成用や光触媒評価の設備や消耗品の購入に充てる計画である。
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Research Products
(6 results)