2018 Fiscal Year Research-status Report
カリウムイオンを電荷担体とする新規イオン液体電解質の開発
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18K14320
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 貴之 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教 (30783823)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イオン液体 / カリウム電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新規な蓄電池であるカリウム二次電池の構築を目指し、イオン伝導性および電気化学的安定性に優れたイオン液体電解質を開発することである。本研究者は既にFSAアニオンをベースとしたK[FSA]-[C3C1pyrr][FSA]イオン液体に注目し、カリウム二次電池用電解質として比較的良好な物理化学的性質を示すことを報告した。一方で、実用化を目指す上では、さらなる電解質の高機能化が必要である。 本年度は、K[FSA]-[C2C1im][FSA]イオン液体に注目し、その諸物性を明らかにした。モル分率x(K[FSA]) = 0.20について、室温におけるイオン伝導率は約10 mS cm-1であった。この値は、従来のK[FSA]-[C3C1pyrr][FSA]イオン液体の2倍以上であり、かつ有機溶媒系電解質と同水準の値であった。また、M[FSA]-[C2C1im][FSA] (M = Li, Na, K)について、異なるアルカリ金属間での物性比較を行ったところ、カリウム系電解質のイオン伝導率は、ナトリウム系のそれより高く、リチウム系と同等であることが分かった。 さらに、本研究者がすでに報告しているK[FSA]-[C3C1pyrr][FSA]イオン液体を電解質に用いて、スズ負極の電気化学的挙動を調べた。その結果、50サイクルにわたって安定した充放電容量が得られることが分かった。 今後は、カリウム系イオン液体の開発と並行して、開発済の電解質を用いた電池試験を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FSA系イオン液体のうち、代表的なピロリジニウム系およびイミダゾリウム系については、開発が順調に進んでいる。また、ピロリジニウム系イオン液体中では、スズ負極が動作することも確認した。今後は、様々な電極材料を用いて性能評価試験を進める予定であり、カリウム二次電池の実用化に向けた指針が得られるものと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに進んでいるため、基本的な計画に変更はない。 さらなる電解質の高機能化を目指し、新規電解質の開発を引き続き行っていく。特に、電荷担体であるカリウムイオンの高濃度化を目指し、カチオンやアニオンの構造を改良する。また、分光分析による溶液構造の解析も進め、カリウム電池用電解質の設計指針を得る。 さらに、電解質の開発と並行して、有望なカリウム二次電池用電解質と電極活物質を組み合わせた電池性能評価も進めていく。
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Research Products
(6 results)