2019 Fiscal Year Research-status Report
カリウムイオンを電荷担体とする新規イオン液体電解質の開発
Project/Area Number |
18K14320
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 貴之 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教 (30783823)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | イオン液体 / カリウム電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、カリウム二次電池用電解質として既に報告したK[FSA]-[C3C1pyrr][FSA]イオン液体を用いて、スズ負極の作動を試みた。室温(298 K)における充放電試験の結果、理論容量226 mAh/gに対して約190 mAh/gの初回容量が得られた。また、充電状態の電極をX線回折により分析したところ、KSn相の形成が確認された。また、100サイクル後における容量維持率も93%程度であり、既報の有機溶媒系電解液を用いた際の結果と比較しても、非常に優れた負極特性を示した。 さらなる電池作動温度範囲の拡張を目指し、非対称イオンであるFTAをベースとしたイオン液体K[FTA]-[C4C1pyrr][FTA]の開発を行った。示差走査熱量測定(DSC)では過冷却挙動を示し、熱重量測定(TG)ではFSA系イオン液体より熱分解温度の上昇が確認されたため、FSA系イオン液体と比べて液相温度領域の拡張に成功した。さらに、他のアルカリ金属イオンを電荷担体に用いたイオン液体との物性比較を行うために、M[FTA]-[C4C1pyrr][FTA] (M = Li, Na, K, Rb, Cs)について、イオン伝導率・粘性率・密度・電気化学窓を測定した。その結果、イオン伝導率および電気化学窓の序列はいずれもNa系<Li系<K系<Rb系<Cs系となり、単純なイオン間相互作用では説明できないことが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FSA系イオン液体については、K[FSA]-[C3C1pyrr][FSA]電解質中におけるスズ負極の充放電挙動を評価し、良好なサイクル特性が得られた。今年度はFTA系イオン液体を新たに開発し、液相温度領域の拡張に成功した。また、アルカリ金属イオンを電荷担体に用いたイオン液体について系統的な物性比較を行い、今後の電解質開発設計指針に繋がる成果も得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに進んでいるため、基本的な計画に変更はない。さらなる電解質の高機能化を目指すとともに、様々な活物質を用いたカリウム二次電池の作動を試みる。また、アルカリ金属イオンを電荷担体に用いた電解質について見られた物性傾向についても、そのメカニズムについては未解明の点が多く存在し、今後の研究課題として取り組んでいく予定である。
|
Research Products
(7 results)