2019 Fiscal Year Research-status Report
水素発生抑制に着目し、炭化水素類生成を目的とした連続的・段階的CO2電解還元
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18K14324
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
高辻 義行 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 助教 (70799345)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CO2電解還元 / Zn / Cu-Co |
Outline of Annual Research Achievements |
現在までに、Zn触媒電極に関して、Znを陽極酸化することにより、多孔質Zn電極の調製に成功した。調製した多孔質Zn電極はZn板や鍍金によって調製したZn電極より、CO2電解還元の触媒活性が高く、目標である-0.9 V vs. RHEの条件において、約80%のCOファラデー効率を達成した(目標は60%以上)。この触媒活性向上の要因はOpen-Loop Electric Potential Microscopy(OL-EPM)によって、CO2電解還元が優先的に生じている部分を特定することに成功した。OL-EPMの結果から、多孔質化したZnのエッジでCO2電解還元が優先的に進行していることが明らかとなり、CO2電解還元反応場の可視化に成功し、Electrochimica Acta, 290, 255-261 (2018)に上梓された。また、異なる陽極酸化条件において、COではなくギ酸を主生成物とするZn電極の調製に成功した。これらの結果を元に投稿論文を作成中である。 Cu触媒電極に関して、Cu鍍金に異種金属(中間生成物であるCOとの吸着エネルギーが強いCo)を混合し、Cu-Co触媒電極の調製に成功した。Cu-Co触媒電極はCoの混合比によって生成物である炭化水素類のCH4/C2H4選択性が変化することが明らかとなった。Cu-Co触媒電極はCuの結晶構造にCoが置換されることで、Cuと中間生成物であるCOおよびCOHの吸着が強くなり、CH4の生成物選択性が向上し、またC-C結合を阻害する役割も果たしていると考えられる。これらの研究成果はElectrocatalysis, 10(1), 29-34 (2019)に上梓された。また、CO2をパルス的に電解還元することで、炭化水素類の生成物選択性を変化させることに成功した。これらの結果を元に投稿論文を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NaOHによってZn板を陽極酸化することにより、ZnOを電極表面に形成し、それを還元処理することで、多孔質Zn電極の調製に成功した。この多孔質Zn電極は、-0.9 V vs. RHEの条件において、約80%のCOファラデー効率を示し(目標は60%以上)、非常に高いCO2の電解還元特性を有していることを明らかした。XRD分析とSEM観察によって、調製前の亜鉛板と同様の結晶性を持ったまま多孔質化していることが明らかとなり、特定結晶面の露出ではなく、多孔質化がCO2電解還元の特性向上に寄与していることが示唆された。多孔質Zn電極の触媒活性向上の要因を明らかにするため、OL-EPMによって、CO2電解還元を行いながら多孔質Zn電極の相対的な表面電位の変化をマッピングしたところ、多孔質かされた粒子のエッジ部分が優先的にカソード反応を行っていることが示唆された。これは、CO2電解還元の反応場を可視化した初めての例となった。 十分にCOを生成する多孔質Zn電極の調製に成功したため、COから炭化水素類を生成するCu電極を鍍金により調製した。COの電気化学的還元を行ったが、COの溶存率が低いため、水素発生が主反応となり炭化水素類などの生成物は少量しか検出されなかった。また、Cu触媒電極で炭化水素類を生成する場合、COとCuの結合がCH4とC2H4の生成選択性に大きく影響すると考えられているため、加えて、パルス的に電解還元することで、CH4の生成物選択性が向上することがわかった。また、鍍金によりCuに異種金属(Co)を混合したCu-Co触媒電極の調製に成功した。CoはCuの結晶性を維持したまま、痴漢固溶体として存在し、Cu-Co触媒電極はCu触媒電極と比べ、Coの混合比によって生成物である炭化水素類のCH4/C2H4選択性が変化することが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までにCO2からCOへ還元させるための、多孔質Zn電極の調製に成功し、その触媒効果も目標値を達成しており、十分であると考えられる。 しかし、生成したCOの水溶液溶存性が低いため、CO還元が優先的に行われず、水素発生に反応電子を取られてしまう。そのため、多段階的に還元するためには溶存量を向上させる必要があり、反応水溶液の変更(高pH溶液等)、反応溶液の温度を低くすることで、気体の溶存量を向上させる試みも行う。 また、パルス的にCO2を電解還元することで、溶存したCO2の拡散を律速段階にしない試みも行う。CO2電解還元は電極表面において、溶存したCO2の供給が律速となると場合、水素発生が優先的に起こってしまうため、CO2の電解還元反応の効率低下につながる。そのため、パルス的にCO2を電解還元することで、CO2の供給を十分に行いながら、電解還元を行うことが可能となる。電解還元するパルス電位やパルスの印可時間などの条件を変化させることにより、炭化水素類の生成物選択性を変化させることを試みる。さらに、調製に成功した触媒電極(Cu触媒電極またはCu-Co触媒電極)に異なるパルスの電位を段階的に印可することで、特異的な反応生成物(定常的に印可するCO2電解還元では得られない生成物)の生成に関しても新たに試みたい。段階的にパルス電位を印可することで、CO2での拡散律速を抑制するだけでなく、中間生成物のCOとの結合を変化させ、ファラデー効率の向上だけでなく、C2H2などの新規生成物に関しても期待ができる。そして、まずはCOを十分に溶存できる系の構築も併せて試みる。
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Research Products
(2 results)