2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on Rapid Potassium Extraction/Insertion in Polyanion-Type Cahode Materials for Potassium Batteries
Project/Area Number |
18K14327
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
久保田 圭 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 講師 (50709756)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | カリウムイオン電池 / 正極材料 / 電池材料 / 二次電池 / 機能性セラミックス材料 / 固体イオニクス材料 / 電気化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
持続可能なエネルギー社会の実現に向けて、蓄電デバイスの技術革新が求められている。資源が無尽蔵な“カリウム”を利用した“カリウムイオン二次電池”は、希少金属や有害元素を含まない“元素戦略電池”として期待できる。しかも、カリウムの酸化還元電位は有機電解液中ではリチウムよりも卑であり、リチウムイオン電池と同等かそれ以上の蓄電エネルギーが期待できる。 本研究では、電極材料面でのブレークスルーを起こすべく、電池材料として遷移金属とのポリオキソ酸を骨格構造とする、カリウム化合物を探索し、リチウムやナトリウムよりも低いルイス酸性を利用した“高速でカリウムを脱挿入可能な”ポリアニオン系正極材料の創製を目的とする。 本年度は既報の材料を合成し、そのカリウム二次電池特性を調査した。まず初めに、リチウムイオン電池正極材料として実用化されているトリフィライト(LiFePO4)を基にして評価した。内包するLiを電気化学的にNaに置き換え可能で、充放電によって可逆的にNaが脱挿入することが知られているが、Kに置き換えると母構造が破壊されてしまうことを本研究で初めて見出し、充放電時のK脱挿入に適したフレームワーク構造を有する材料であることの重要性を明らかにした。そこで、鉄、マンガン、バナジウムをベースとしてカリウムを含有するリン酸塩および硫酸塩を合成して、評価した。その材料の結晶構造とカリウム電池特性との関係を明らかにし、既報の文献とも合わせて、世界初となるポリアニオン系カリウムイオン電池正極材料の総説にまとめた(Chem. Rec. 2019, 19, 735-745)。 このような一連の材料合成と電池特性の評価から、既報のカリウム電池正極材料とは結晶構造の異なるバナジウムリン酸カリウムを見出し、カリウム電池特性にも優れることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は材料合成とカリウム電池特性の評価を計画していた。 単にリチウムをカリウムに置き換えるだけでは優れた材料とはならず、材料開発の重要性を明らかにした上で様々なポリアニオン系材料を合成し、そのカリウム電池特性をまとめることができた。KTiOPO4型のフレームワーク構造を有する材料がカリウム電池活性であることは知られていたが、本研究での一連の合成と電池特性の評価を通じて、既報とは異なる結晶構造を有するバナジウムリン酸カリウムを見出した。バナジウムを鉄やマンガンへも置き換え可能だと予想される。 このように、新たなポリアニオン系カリウム電池材料群の創製に迫っており、当初の計画を達成している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の計画通り、新規に見出したバナジウムリン酸カリウムを初めとする材料の充放電中の結晶構造の変化を実験室系X線回折装置を用いて明らかにする。さらに、ポリアニオン系骨格を構成する遷移金属の局所的な電子状態を大型放射光施設を利用して調査する。 これらの分析結果を基に、結晶構造および電子状態と電池特性との関係を詳細に明らかにし、材料設計の指針を確立する。材料合成へとフィードバックすることで、カリウム脱挿入および電気化学特性により優れた材料の実現を目指す。
|
Research Products
(10 results)