2019 Fiscal Year Research-status Report
多層ペロブスカイト結晶による高耐久高効率有機無機ハイブリッド太陽電池の開発
Project/Area Number |
18K14329
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
古郷 敦史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (40747870)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ペロブスカイト太陽電池 / 表面処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々なハロゲン化有機アミンを用い、ペロブスカイト結晶の後処理を検討した。MAI、MABr、MACl (MA = CH3NH3)でペロブスカイトを処理した場合、ハロゲン化物イオンの違いによってペロブスカイト層のバンドギャップエネルギーが変化することがわかった。これにより、太陽電池の光電流密度および開放電圧が変化し、発電性能に違いが出た。MAIを用いた場合が吸収光波長域が最も広く、高い発電効率を示した。また、MAClを用いた場合はペロブスカイト内のトラップ密度が増加し、MAI、MABrを用いた場合はトラップ密度が減少することが分かり、ハロゲン化イオンの種類によって結晶性が変化することがわかった。MAIの代わりにFAI (FA = CH5N2)を用いた場合は、さらに吸収波長域が広がり、発電効率が改善されることが明らかになった。 一方、前年度より検討を続けているCsIで後処理を行ったペロブスカイト結晶に関し、結晶内のCsイオン分布を二次イオン質量分析法によって計測したところ、ペロブスカイト層の表面にCsI溶液を塗布した場合でも最下層まで均一にCsイオン濃度が増加していることが分かった。このことから、CsIで処理したペロブスカイトは、生成したCsPbI3によってペロブスカイト表面が保護されたわけではなく、内部組成が変化したことで耐熱性が改善したということが示唆される。これは、今後ペロブスカイト太陽電池の高耐久化につながる新たな知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ペロブスカイト処理剤を検討することで、ペロブスカイト結晶のエネルギーギャップが変化するという新しい知見が得られた。また、CsI処理ペロブスカイトにおいては、耐久性の改善だけでなく、そのメカニズム解明までできた。
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Strategy for Future Research Activity |
後処理技術によってペロブスカイトの高性能化、高耐久化を実現したが、より高性能、高耐久なペロブスカイト結晶を開発するため、本年度の検討をより高度な積層技術および製膜技術に発展させる。
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Causes of Carryover |
本年度はほぼ計画通り予算を使用した。前年度の繰り越し分が残ったが、論文の投稿料や英文校正などに活用する。
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