2020 Fiscal Year Annual Research Report
Ribosome modification to synthesize peptides containing beta-amino acids
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18K14332
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤野 公茂 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (00772378)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リボソーム / 無細胞翻訳系 / β-アミノ酸 / D体アミノ酸 / ペプチド / 進化分子工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、1.変異リボソームライブラリの作製、2.基質拡張リボソームの選択、3.β-アミノ酸導入活性評価、の3段階からなる。2018, 2019年に、全段階を一度実施したが、β-アミノ酸の導入活性の高いリボソームは得られなかった。そこで、2020年には、次の2点の改善を試みた:1点目に、変異導入部位を従来の8箇所から11, 16, 22箇所へ増やし、探索範囲を拡大した。2点目に、導入の対象をβ-アミノ酸に限定せず、D体アミノ酸も使用した。その結果、本研究で確立したリボソーム選択法により、D体アミノ酸の導入効率の高い変異リボソーム候補が得られた。しかし、実際にこれらを個別発現すると、変異導入による構造不安定化のためか、野生型よりも翻訳活性が低下することが明らかになった。結果として、本研究では、リボソーム選択法の確立までは達成したものの、基質拡張リボソームの取得には至らなかった。 一方、本研究では、以下の副次的な成果を達成している。本研究で開発する基質拡張リボソームは、非タンパク質性アミノ酸を含む薬剤ペプチド選択への応用が期待されるが、その際に必要となる薬剤標的タンパク質の、安全な調製法を確立した。通常の大腸菌を用いた方法では、バイオセーフティレベルを満たす必要があり、実施可能な施設が限られる。今回確立した方法では、万が一漏洩しても自然界で機能しない、アミノ酸入れ替え遺伝子を構築することで安全性を担保する。その結果は、国際誌ACS synthecic biologyに査読付き論文として掲載された。2019年発表の、フレキシザイムの最小基質RNAを用いた、新たなアミノアシル化効率測定法(Chembiochemに掲載)と合わせて、本研究の成果である。また、他2報の発表についても、本研究で確立した無細胞翻訳系の技術等を利用している。
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