2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K14356
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 康明 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (80769977)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 核酸アナログ / 共有結合医薬 / 抗ウイルス薬 / ポリメラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、標的酵素と共有結合を形成する共有結合医薬が大きな注目を集めている。共有結合形成に由来する強力な阻害能は非常に魅力的だが、標的外のタンパク質との反応による副作用が大きな問題となっており、この解決が強く求められている。このような背景を踏まえ、本研究では「標的酵素によって活性化される共有結合医薬」の開発を目指した。本戦略では、阻害剤は標的酵素が行う酵素反応によって活性化されて初めて反応性を獲得するため、標的外との共有結合形成は起こらず、共有結合医薬の標的選択性の問題を解決する有力なアプローチとなる。具体的には、求核的官能基を糖骨格の適切な位置に配置した核酸アナログを設計した。この化合物はポリメラーゼなどの標的酵素により求電子性の活性化体に変換され、これが標的酵素と共有結合を形成しその機能を阻害するものと想定した。本化合物を抗がんあるいは抗ウイルス活性の共有結合性医薬とし、「標的酵素による共有結合医薬の活性化」の戦略の有効性を実証する。 今年度は設計した核酸アナログの合成と、予備的な活性評価を行った。アデノシンを出発原料として、2‘水酸基の脱離基への変換、求核性官能基の導入等を経て、標的化合物の合成を行った。得られた化合物を用いてプライマー伸長反応を行い、ポリメラーゼに対するその阻害効果の評価を行った。その結果、想定する不可逆阻害効果を示すことを見出した。また、各種ウイルス感染細胞における活性評価実験により、予備的ながら良好な阻害効果を示すことを見出した。今後はさらなる構造最適化により、より高活性の化合物の創出を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリメラーゼに対して想定する不可逆阻害活性を示す化合物を見出しており、更に細胞実験で比較的良好な活性を示す化合物を見出しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、標的疾患に応じて核酸アナログの塩基の種類および求核性官能基の構造最適化により、高活性かつ選択性の高い核酸アナログの開発を行う。また、高活性を示した化合物について、affinity pull down実験などによりその詳細な作用メカニズムの解析を行い、高活性化合物の分子設計指針を得る。
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Causes of Carryover |
当初予定よりも化合物合成に費用が掛からなかったため。この差額分は翌年度において更なる誘導体合成やその活性評価に用いる。
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Research Products
(7 results)