2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K14364
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
田中 伸裕 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 次世代作物開発研究センター, 研究員 (60646230)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 窒素 / 開花制御 / イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
農業現場では貧栄養状態で作物の開花が促進されることが知られているが、そのメカニズムは不明のままであった。本申請ではイネの開花は窒素欠乏によって促進されることを明らかにした。この制御メカニズムを理解することで、栄養条件が不均一な実際の栽培環境における出穂期のバラツキを減らすことが可能になる。その結果、収穫時の未熟な種子の混入が軽減され、米品質の均一化が図れる。 平成30年度は窒素欠乏条件下で開花を促進する、開花関連遺伝子の同定を目指して、3つの開花関連遺伝子の機能欠損体を通常条件、窒素欠乏条件で栽培した。その結果窒素欠乏による開花促進程度が弱まった形質転換体が観察されたため、これらの原因遺伝子は窒素欠乏条件下で開花を促進する開花関連遺伝子であることが予想された。 また窒素欠乏条件において播種後2-3週目に、既知の開花関連遺伝子の発現パターンが大きく変化することを明らかにした。 今後は上記の生育ステージにおけるRNA-seq解析などを行うことで、窒素欠乏に応答し、開花促進に関わる新規遺伝子の同定を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
栽培環境の変化があったため、窒素欠乏に応答し、開花促進に関わる新規遺伝子を同定するための栽培実験に支障が出た。一方で窒素欠乏における開花促進に関わる、既知の開花関連遺伝子を明らかに出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は30年度に明らかにした播種後2-3週目における開花関連遺伝子の発現パターンを指標に、同時期のRNA-seq解析を行う。その結果得られる、窒素欠乏に応答し、開花促進に関わる新規遺伝子の候補に関して機能欠損体の作成を行い、窒素欠乏条件下における開花期の調査を行うことで、原因遺伝子の確定を目指す。 また既にGWASによって得られている、窒素欠乏下での開花促進に関わる新規遺伝子についても、形質転換体を作成しており、これらの栽培試験によって遺伝子機能の評価を行う
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Causes of Carryover |
当初計画していた栽培試験が、温室の故障により遅れたため、余剰が生じた。31年度はRNA-seq解析など、必要経費が増えるため、次年度の試薬などの消耗品に使用する予定。
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