2019 Fiscal Year Research-status Report
LLB Phage: Novel approach to eliminate food poisoning bacteria
Project/Area Number |
18K14378
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
益田 時光 九州大学, 農学研究院, 助教 (90778060)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | バクテリオファージ / リーダレスバクテリオシン / 食中毒細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、リーダレスバクテリオシン(LLB)を賛成するバクテリオファージ(ファージ)、LLBファージを構築し、食中毒細菌の制御における全く新しい手法を創出することを目的としている。また、ファージの遺伝子改変のためのCRISPR-Casシステムを用いた新たな組み換えプラットフォームの検討も行っている。 2019年度までにおいて、大腸菌を宿主とするT7ファージ、LLBとしてlacticinQ(LnqQ)を用いてlnqQ-T7ファージの構築を目指して研究を進めてきた。現在までに、lnqQ-T7ファージの構築に成功した。 また、2019年度より新たに黄色ブドウ球菌(SA)を標的としたLLB産生ファージの構築にも取り組んでおり、こちらについても、候補となるファージをヒト皮膚より一株単離することに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、CRISPR-Cas3システムを大腸菌で異種発現させる組み換えファージのスクリーニング方の確率を見ざしていたが、システムを正常に機能させるための遺伝子の数が多く難航した。そのため、trxAと呼ばれる、ある種のファージのゲノムDNA複製に必須となる大腸菌宿主内の遺伝子に着目してファージ遺伝子の改変を試みた。T7ファージはこのtrxA要求タイプのファージであり、宿主大腸菌のtrxAをノックアウトしておけば感染することができない。これを利用して、lnqQ-trxAの形でLnqQ構造遺伝子をファージゲノム中にtrxAと同時に導入すると、組み換えファージのみがtrxA破壊株に感染できることになる。この手法によってlnqQ-T7ファージの獲得に至ったため現在その挙動について検証している。 また、2019年度から並行して開始した黄色ブドウ球菌(SA)を標的としたLLBファージの構築については、我々のグループが保有する菌株、ファージ株を用いて検討を進めてきたが、CRISPR-Casや制限酵素といった外来遺伝子を排除する仕組みがSAにおいては非常にアクティブであり、形質転換自体が困難であるという問題に直面した。それを解決するために、SA RN4220株という複数遺伝子破壊によって上記のような排除機構を取り除いた特殊なSA株を用いた候補ファージの探索を行った。その結果、ヒト皮膚上より1株の候補ファージ(PSARa)の単離に成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
大腸菌を標的としたLLBファージの構築については、既に構築したlnqQ-T7ファージの性質、抗菌効果などを評価、さらに遺伝子導入形式の再検討、最適化を進めていく。また、並行して病原性大腸菌に感染能力を持つファージを利用したLLBファージの構築も目指す。これは、trxAを利用した遺伝子改変プラットフォームを用いるため、前段階として病原性大腸菌O157-H7株し、なおかつtrxA要求タイプのファージを探索することから始める。具体的には、O157-H7株とtrxA破壊株を利用したDoble indicator assayによって探索を進める。 SAファージについては、単離してきた候補ファージPSARaのゲノム解析を進め、lnqQ導入箇所の検討を行う。それと同時に、RN4220株を用いたファージ遺伝子改変、組み換えファージスクリーニングシステムを構築する必要がある。これには、CRISPR-Cas10システムを利用する。こちらは、既にRN4220株を用いてSAファージゲノム中の遺伝子改変を行った報告があり、それに用いるプラスミド等についても入手済みである。遺伝子改変においては比較的サイズの小さいものが効率が良いと考えられる。PSARaについてはまだゲノムサイズもわかっておらず、よりよい候補を見つけるため、引き続き新たな候補ファージの探索も続けていく予定である。
|