2018 Fiscal Year Research-status Report
アルドキシムをハブとした含窒素化合物生合成酵素群の機能解析と分子進化の解明
Project/Area Number |
18K14385
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山口 拓也 筑波大学, 生命環境系, 助教 (00748527)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ビワ / シトクロムP450 / 花香成分 / ニトロ化合物 / ニトリル化合物 / 生合成 / 二次代謝経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビワ(バラ科)は、バラ科植物に広く分布する青酸配糖体の生合成経路を基盤に、フェニルアセトアルドキシムをハブとして、(2-ニトロエチル)ベンゼンとフェニルアセトニトリルを生合成する新奇経路を獲得したと推察される。特にニトロ基を有する天然物は、植物、微生物と動物を併せても200化合物ほどしか見出されておらず、その生合成に関する知見は限られている。そこで本研究の目的は、ビワのフェニルアセトアルドキシムをハブとした含窒素化合物群の生合成経路を遺伝子と酵素レベルで解明し、含窒素化合物群の生合成酵素遺伝子の分子進化を明らかにすることである。 平成30年度は、ビワの含窒素花香成分 (フェニルアセトアルドキシム、フェニルアセトニトリル、(2-ニトロエチル)ベンゼン)の生合成酵素遺伝子の同定を目的として研究を行った。ビワの花と葉からtotal RNAを抽出し、RNA-seq解析を行うことで、花で高発現するシトクロムP450遺伝子を選抜し、クローニングした。シトクロムP450を出芽酵母において発現し、フェニルアラニンまたはフェニルアセトアルドキシムを基質とした休止菌体反応を行い、フェニルアラニンをフェニルアセトアルドキシムに、フェニルアセトアルドキシムをフェニルアセトニトリルまたは(2-ニトロエチル)ベンゼンに変換するシトクロムP450を同定した。さらに、(2-ニトロエチル)ベンゼン合成酵素遺伝子についてはオルソログ遺伝子を複数の植物種から単離し、ビワと同様の活性を示すことを明らかにした。また、ビワ花の含窒素香気成分放出パターンと生合成酵素遺伝子の発現パターンの相関も調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまで植物からニトロ基合成酵素は見出されていなかったことから、ビワの(2-ニトロエチル)ベンゼン合成酵素の同定に時間がかかると考えていた。しかし、H30年度において、(2-ニトロエチル)ベンゼン合成酵素を見出すことに成功し、さらに他植物のオルソログ遺伝子の解析も完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
H31年度では、(2-ニトロエチル)ベンゼン合成酵素の酵素化学的諸性質の解明を行う。また、フェニルアセトアルドキシム、フェニルアセトニトリル、(2-ニトロエチル)ベンゼン生合成酵素遺伝子を導入したシロイヌナズナを作出し、in plantaで生合成経路を再構築する。
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Research Products
(3 results)