2020 Fiscal Year Research-status Report
メタボローム解析から探る稲わら高品質化のためのシュウ酸蓄積分子機構
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18K14386
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
宮城 敦子 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (00645971)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シュウ酸 / イネ / メタボローム解析 / ICL / CE-QQQ-MS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は稲わらの高品質化のため、稲わらの元となるイネ茎葉のシュウ酸含有量の低下を目指すとともに植物のシュウ酸蓄積機構を明らかにするものである。 2019年度に植物で報告されている3つのシュウ酸合成経路の1つであるイソクエン酸経路を担うイソクエン酸リアーゼ(ICL)について暗所で発現していることを示した。そこで、通常光条件(12時間明期/12時間暗期)、恒光条件(24時間明期)、暗条件(24時間暗期)で10日間育成したイネ幼植物体の葉のシュウ酸含有量をCE-QQQ-MSを用いて測定し、暗期の長さがシュウ酸蓄積に及ぼす影響を調べた。その結果、シュウ酸含有量は暗条件>通常条件>恒光条件の順でシュウ酸を多く蓄積した。また、ICLの阻害剤であるイタコン酸を処理して同様の実験を行ったところ、通常光条件および暗条件で育成した場合はイタコン酸の濃度依存的にシュウ酸含有量が減少した一方で、恒光条件ではシュウ酸含有量の現象は見られなかった。これらの結果から、暗期が長ければICLの発現期間が長くなるため、その分のイソクエン酸経路を介したシュウ酸が蓄積することを示すものである。 また、2019年度にシュウ酸含有量の品種間差を比較解析した世界のイネ・コアコレクション(WRC, 農研機構)ではジャポニカ型品種のものが少なかったため、日本のイネ・コアコレクション(JRC, 同)を育成し、約50品種の植物試料を得ることができた。今後、JRCのシュウ酸含有量を測定し、WRCのデータと併せてゲノム比較解析を行うことにより、シュウ酸含有量の品種間差をもたらす遺伝子(座)の解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19流行により、緊急事態宣言が発令されたことにより実験や作業が制限され、当初予定していた実験の進行が遅れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ICLの発現が抑制されたiRNA系統の解析を行い、ICLの発現抑制がシュウ酸含有量に及ぼす影響を明らかにする。また、コシヒカリおよびタカナリの染色体部分置換系統の解析により見つかった4つのシュウ酸候補遺伝子の解析を進める。JRCのシュウ酸含有量を測定をすすめ、ジャポニカ型品種とインディカ型品種および熱帯ジャポニカ型品種との比較解析を行う。ゲノム比較解析を行うことにより、シュウ酸含有量の品種間差をもたらす遺伝子(座)の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
COVID-19のため、参加予定であった学会が中止またはオンライン開催になり、また、緊急事態宣言等により出張が禁止となったため旅費のための予算が執行できなくなった。また、実験や作業についても支障が出たため、その分の消耗品代等の購入を控えた。 そのため、生じた次年度使用額については次年度以降に予定している学会等の参加費や質量分析等で用いる消耗品費に使用予定である。
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[Journal Article] The NAD kinase Slr0400 functions as a growth repressor in Synechocystis sp. PCC 6803.2021
Author(s)
Yuuma Ishikawa, Cedric Cassan, Aikeranmu Kadeer, Koki Yuasa, Nozomu Sato, Kintake Sonoike, Yasuko Kaneko, Atsuko Miyagi, Hiroko Takahashi, Toshiki Ishikawa, Masatoshi Yamaguchi, Yoshitaka Nishiyama, Yukako Hihara, Yves Gibon, Maki Kawai-Yamada
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Journal Title
Plant and Cell Physiology
Volume: -
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Phosphorus toxicity disrupts Rubisco activation and reactive oxygen species defence systems by phytic acid accumulation in leaves2020
Author(s)
Daisuke Takagi, Atsuko Miyagi, Youshi Tazoe, Mao Suganami, Maki Kawai-Yamada, Akihiro Ueda, Yuji Suzuki, Ko Noguchi, Naoki Hirotsu, Amane Makino
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Journal Title
Plant, Cell and Environment
Volume: 43
Pages: 2033-2053
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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