2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K14393
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
伊藤 進也 京都産業大学, タンパク質動態研究所, 研究員 (00794439)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | タンパク質間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
Heat shock protein 47(Hsp47)は小胞体に局在し、コラーゲン特異的に働く分子シャペロンであり、コラーゲンの正常な合成と分泌には、小胞体においてプロコラーゲンとHsp47が相互作用することが必須である。コラーゲンの異常蓄積を特徴とする線維化疾患の治療においてHsp47が分子標的として極めて有望であることがこれまで示されてきた。本研究では、線維化疾患治療に向け、タンパク質間相互作用評価法を開発することを目的とした。 生きた細胞内でタンパク質相互作用をリアルタイムに観察できる手法であるBRET(Bioluminescence resonance energy transfer)をHsp47-collagenのタンパク質間相互作用の検出に適用した。BRETでは励起光が不要であり、化合物自身が持つ自家蛍光を排除できることが薬剤スクリーニングでメリットとなり、かつ細胞内での結合と解離をリアルに捉えることが可能となる。種々の条件検討の結果、Hsp47-Halotagとmini collagen-Luciferase間でBRETシグナルが得られた。さらに、これまでに得られていたin vitroでHsp47-collagen間の相互作用を阻害する化合物の添加により、BRETシグナルは減少した。一方で、p53-MDM2というサイトゾルのタンパク質間相互作用のコントロールペアのBRETシグナルは変化しなかった。 今回構築した系を利用し、Hsp47阻害候補化合物が、小胞体内で確かにHsp47とコラーゲンの相互作用を阻害していることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、生きた細胞内でHsp47-コラーゲン間の相互作用をモニターする系を構築できた。この系を利用し、Hsp47-コラーゲン間相互作用阻害剤の阻害活性を測定した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)BirA-Avitag systemを用いた高感度相互作用検出法の応用;ビオチンリガーゼ(BirA)はその認識配列(Avitag)にビオチンを付加する。この反応の特異性は高く、かつ反応が早いため、BirAとAvitagの結合解離は瞬時に起こる。既に構築した、BRETの系をBirA-Avitag系に応用し、小胞体内のHsp47-collagen間相互作用率を細胞外のcollagenのビオチン化率として算出する。ビオチン添加依存的に、Avitagへのビオチン付加の有無を観察し、Hsp47-collagen相互作用阻害剤を用いて、細胞外に分泌されたcollagenのビオチン化量が減少する事を確認する。
(2)タンパク質間相互作用検出システムのin vivoへの適用;In vivo jet PEI等のポリエチレンイミンと核酸の複合体をマウス尾静脈へ投与すると、組織(主に肺)に遺伝子が導入される。この方法を用いて、今回開発した評価系をマウス固体に導入し、タンパク質間相互作用の検出とその阻害をマウス固体で評価する。
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Causes of Carryover |
予定通り、生きた細胞内でHsp47-コラーゲン間の相互作用をモニターする系を構築し、さらに、この系を利用し、Hsp47-コラーゲン間相互作用阻害剤の阻害活性を測定したが、条件検討に多くの時間を使用したため、多くの阻害候補化合物を購入し、阻害活性を比較するまでには至らなかったため、次年度使用額が生じた。 BirA-Avitag systemを用いた高感度相互作用検出法の応用及び、タンパク質間相互作用検出システムのin vivoへの適用に向け、それらを実施するための消耗品の購入に当てる。さらに、多くの阻害候補化合物を購入し、阻害活性を比較する。その際、解析を行うソフトを購入することで、効率よく阻害活性の評価を行っていく。
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