2018 Fiscal Year Research-status Report
生物合成系を模倣したペプチド化学合成法の開発と応用
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18K14396
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
倉永 健史 京都大学, 薬学研究科, 助教 (70625201)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ペプチド / 生合成 / 有機合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では新規ペプチド化学合成法の開発と、その有用性を実証する応用研究としてペプチド系天然物の全合成および生合成研究への応用を計画していた。 2018年度は、研究対象とした天然物群のなかでも環状ペプチド天然物スルガミドA-Eおよび鎖状ペプチド天然物スルガミドFについて、その化学合成を駆使した生合成メカニズム解明研究を行った。通常自然界からは得られない生合成中間体を化学合成供給し、大腸菌において異種発現させた生合成酵素とのin vitro反応によるペプチド鎖伸長の停止メカニズム解明研究を行った。その結果、遺伝子クラスター内において通常のNRPのペプチド鎖伸長の停止を担う酵素(TE)とは大きく異なる部位に存在する酵素SurEにより環状ペプチド天然物スルガミドA-Eが得られることを明らかとし、これまで未解明であった環化機構の解明に成功した(Angew. Chem. Int. Ed. 2018, 57, 9447.)。さらに、生合成酵素SurEは全く構造の異なるスルガミドFのペプチド鎖伸長の停止も担うことを明らかにした(Org. Biomol. Chem. 2019, 17, 1058.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、応募者が独自に開発しているペプチドC末端をアミノ酸Cα位の異性化を生じることなく修飾する手法を駆使し、従来のペプチド化学合成とは逆向きの、生物合成系を模倣したペプチド化学合成法の開発および応用を行う。 2018年度中に実施した全てのペプチドC末端修飾において、異性化を抑制することに成功している。さらに申請時より計画していた、本研究で開発する生合成模倣化学合成法を生合成メカニズム解明研究へ応用する研究についても、新規ペプチド環化酵素の同定 (Angew. Chem. Int. Ed. 2018, 57, 9447.)や機能解明に(Org. Biomol. Chem. 2019, 17, 1058.)成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度中に、ペプチドC末端修飾時の異性化の抑制への有効性は十分に確認されたため、今後は(1)収率の向上、(2)保護基の最適化、(3)ペプチド固相合成への適用、(4)長鎖ペプチド合成への応用など、開発した手法の有用性を実証する研究に取り組む。 当初の計画以上に進行した生合成メカニズム解明研究への応用については、新たな生合成機構未解明であるペプチド系化合物を研究対象に追加し、本研究の手法を効率的に駆使してその生合成メカニズム解明に挑戦する。
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Research Products
(3 results)